関東大震災から70年後の1993年、経済専門誌という意外な場所に、震災当時9歳の少女だった女性の体験談が書かれていた。 少女の一家は震災のわずか10日ほど前に横浜の中心地に近い吉田町から、同じ市内ではあっても当時は田舎だった西戸部に引っ越し、ここで荷物の整理も済まないうちに震災に遭っている。引っ越したばかりで友達もなく、一人で原っぱで遊んでいた少女が体験した話である[1]。 関東大震災の思い出 栄 女 大正十二年九月一日の関東大震災の時に私は数え年九歳だった。私はその時起ったことをいつか人に話したいと思って来たが、言えなかった。(略)毎年九月一日が来る度に言いたくて言えなかったことを思い出して、ああ今年も私はあのことを覚えていたと思うのだった。 九歳の8月私はよその子よりよっぽど遅いはしかにかかって夏休み中の暑い盛りに毛布にくるまって寝ていなければならなかった(略)そして治ってすぐにどうい
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