「ダイバーシティはイノベーションの源泉」――。セクシュアリティや年齢、国籍、障がいなど様々な人を組織に取り込むことで、多様な視点が生まれイノベーションにつながるという考えだ。ダイバーシティを推進する多くの企業がこの考えを持つが、社会学者でジェンダー研究の第一人者である上野千鶴子氏は「ナンセンス」と指摘する。ダイバーシティと業績の相関関係は実証されており、「売上高やイメージが高まることは事実だが、待っているのは縮小社会だ」と語る。ダイバーシティの本当の意味とは。上野氏に聞いた。(聞き手・オルタナS編集長=池田 真隆) ――よく「ダイバーシティはイノベーションの源泉」といわれますが、どうお考えでしょうか。 上野:ダイバーシティを推進した組織の業績や利益率が上がることはデータでも出ています。イノベーションの源泉になることは事実ですが、企業の勝ち残りレースのために女を利用するのならナンセンスです。