「いつか原語で」翻訳家になった藤井悦子さん ウクライナの「国民的詩人」と呼ばれるタラス・シェフチェンコ(1814~61年)。彼の詩が150年以上の年月を経てもなお、ウクライナの人々の精神的支柱であり続けるのはなぜなのか。若き日、彼の詩に深く心を打たれ、子育ての傍ら独学でウクライナ語を学び、彼の詩を日本に紹介してきたウクライナ文学者で翻訳家、藤井悦子さん(79)に話を聞いた。 「なんて激しい怒り。深い悲しみ。小さき者へのまなざしがなんて温かいんだろう」。当時、東京外国語大ロシア科の学生だった藤井さんは、東京・お茶の水の古書店で買った「近代ロシア詩集」を開き、シェフチェンコの詩に心をわしづかみにされたような衝撃を覚えた。 <自由はよき人々の/夢にだに立たず。/夢にだに立たずして、/人に踏みにじらる、/この醜草(しこぐさ) われらが野に/芽吹くなとばかりに。> 彼の作品を読むのは初めてだった。ウ
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