「人間五十年、化天のうちを比ぶれば……」。47才で没した織田信長が好んだとされる一節からは、当時の寿命が50才前後と認識されていたことがうかがえる。だが実は、その当時も「人間七十年」は当たり前だったという。「人間百二十年」の時代を目前に、“老い”の研究の最前線を徹底取材。 監修・取材 ・東京大学教授 小林武彦さん ・東京大学医科学研究所教授 中西真さん ・Y’sサイエンスクリニック広尾の統括院長 日比野佐和子さん ・順天堂大学医療科学部特任教授 長岡功さん 老化研究の第一人者「老化するのは人間だけ」 私たちの目下の命題は、最期まで楽しく健康に生きるため「老化」をいかに食い止めるかということ。 だがそれは人間だけが背負わされた課題だと、東京大学教授で『なぜヒトだけが老いるのか』著者の小林武彦さんは言う。 「なぜなら、そもそも『老後』は人間にしか存在しないからです。メスの生殖能力が失われてから