要旨 理化学研究所(理研)統合生命医科学研究センター サイトカイン制御研究チームの久保允人チームリーダー(東京理科大学生命医科学研究所教授)と宮内浩典研究員らの共同研究グループ※は、マウスを用いてインフルエンザウイルスの活性を減退または消失させる抗体(中和抗体)誘導の新しい制御機構を明らかにしました。 インフルエンザウイルスは喉や鼻から体内に侵入して、重篤な肺炎を起こします。鳥インフルエンザなど病原性の高いウイルスが、変異を繰り返してヒトに感染できるようになると、多くのヒトが死亡すると危惧されています。ワクチン接種は、ウイルスが体内へ侵入することを防ぐ抗体を誘導するための有効な手段です。これまで、ワクチン接種による抗体の誘導は、抗体産生の場である「胚中心[1]」と「リンパ濾胞型ヘルパーT細胞(TFH細胞)[2]」の両方が必要と考えられてきました。これは、ウイルスに対して高い結合能(親和性)