警察庁は9日、昨年1年間の全国の自殺者が3万651人だったと発表した。 前年を1039人(3・3%)下回ったが、14年連続で3万人を超えた。「学生・生徒」が前年より101人(10・9%)増の1029人に上ったのが特徴で、統計を取り始めた1978年以降、初めて1000人を超えた。 若者の悩みをいかにくみ取るのか。各大学などで取り組みが始まっている。 「この先に良い人生が待っていると思えない。死んだ方が楽なんです」。2008年冬、東京都港区の寺で悩み相談を受けている前田宥全(ゆうせん)住職(41)の元に、長髪にジーンズ姿の10代後半の若者が訪れた。 大学に入って半年以上たつのに同級生の輪に入れず、友人もできない。「何のために生きているのかわからない」。淡々と話す様子から切迫感は伝わってこなかったが、両腕のリストカットの痕跡は生々しかった。 3年間で約100回、前田住職と面談したこの大学生はその