昭和5(1930)年に春陽堂から刊行された今和次郎と吉田謙吉による共著書。「モデルノロヂオ」とは、今が提唱した「考現学」(現在進行形の風俗の変遷を考察の対象とする学問)をエスペラント語に翻訳したものである。今は、大正12(1923)年の関東大震災後、復興とともに急速な変貌を遂げていく東京の風俗を観察、記録する作業を開始し、東京美術学校で今の後輩だった吉田もまたこの作業に加わった。彼らは、都市の「明」の側面のみならず、本所深川の貧民窟をはじめとする「暗」の側面についても克明なスケッチを残しているが、同書はそうした観察記録の集大成と言える。同書に収められた膨大な情報のなかでも、大正14(1925)年に銀座で行なわれた定点観測調査に基づく「和装の女性99%に対して洋装の女性はわずかに1%」という数字は特によく知られており、「洋装」「断髪」のモダンガールのイメージでとらえられることの多い当時の女性
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