上野から谷中界隈の階段を歩く 【谷中界隈の階段】 東京メトロ千代田線根津駅を出て善光寺坂(言問通り)を上り、谷中の寺町へ向かうと、左側に玉林寺という古刹がある。大木が何本もある境内は夏でも涼しく、晩秋の候はややさびしいぐらい静かだ。望湖山というちょっと変わった山号は、裏の高台から不忍池の眺めがよいことから付けられたものだという。今では建物が多く建ち並んでしまい、池を望むことなど到底不可能だが、十数mの丘に上るだけで数百m先の池を見通すことができた江戸の町の風景は、今より遙かに広がりのあるものだったに違いない。 ▲階段脇の井戸 参道の途中に東側にそれる小道がある。地元の人々が抜け道として使う、知る人ぞ知る塀沿いの細道を奥へ進むと、傍らに井戸がある階段にたどり着く。個人所有の屋根付き井戸と狭い階段、そして大木の取り合わせは、強く印象に残り、何度見ても飽きない。 実はこの階段とその周辺は都市計画