その衝撃を僕に与えた張本人は、当時一緒にネットベンチャーで働いていたある若者である。ある日、彼が昼休みに東京・原宿のミュージックストアで、お気に入りアーティストの音楽CDを買ってきた。 「あっ、これ買ったんだ」 「ええ、欲しかったんです」 そんな会話を交わした後、早速、彼はパソコンに買ってきた音楽CDをインストールして聞き始めた。しばらくしてから、ふと彼の方を見ると、ジャケットと音楽CDのケースをゴミ箱に捨てる様子が目に入った。 その様子を見て、「ああ、君も音楽CDケースを捨てるんだ」と、なんだか“共感”のようなものを感じて話しかけた僕に対して、彼は信じられないような返事を戻してきた。「いや、CDケースだけじゃなくて、全部捨てるんです」。 実際にゴミ箱の中を見せてもらうと、昼休みに買ってきた音楽CDがそのまま捨ててある。「もうiPodにインストールしちゃったので、オリジナルはいらないんで