ヒカルよ、今まで貴女に黙っていたことがある。実はハハにはヒミツがある。貴女に話すのはまだ少し早いかもしれないが、よい機会だ、今宵はハハの告白を聞いてほしい。 ヒカルよ、貴女のハハには主人(あるじ)がいる。え、そんなはずはないだって? いいやヒカルよ、ハハが寝ても覚めても貴女のそばにいるからとて、油断はならない。貴女が生まれるずっと前から、ハハはその方にお仕えしていたのだから。 ん、貴女の父ちゃんのことかって? いやいや、貴女のチチハハの間には主従関係など存在しない。貴女のチチとハハは姓も違うし、理由(わけ)あって今は住んでいる場所も別々だ。けれどヒカルよ、貴女もよく知るとおり、チチとハハは同じ時代を共に生きると決めた同士であり、戦友であり、貴女の人生の伴走者でもある。そのことに変りはない。 あいにく世間には、そういう二人のことを良く言わない人もいるようだ。この先、貴女のことを可哀相だと憐れ