企業の価格設定と金融政策の関係 消費税率引き上げから1週間余りが経過した。消費税率引き上げ後の経済動向を示す経済指標の発表は11月以降になるため、全体の状況はまだわからない。 ただ、駆け込み需要がそれほど大きくなかったことやポイント還元の普及等もあり、筆者の周辺をみる限りは、従来の消費税率引き上げ時よりも影響は軽微であるというのが率直な感想だ。 筆者は、今回の消費税率引き上げについては、「増税による価格の不連続な上昇 ⇒ 家計の実質可処分所得の不連続な減少 ⇒ 実質消費の不連続な減少」という従来型の影響よりも、「軽減税率やポイント還元等による企業の価格転嫁の抑制 ⇒ 価格競争の激化 ⇒ 利益率の低下による企業業績の悪化 ⇒ コスト削減圧力の高まりによる雇用の悪化 ⇒ 再デフレ」という連鎖の方を懸念している。 前者のケースであれば、一旦、消費が急減した後、時間をかけてそれが徐々に修正されてい