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ブックマーク / honz.jp (13)

  • 『国道16号線 「日本」を創った道』 - HONZ

    私が住む東京都町田市の小田急町田駅の東口の広場には「絹の道」という石碑がある。それをゼミ生に見せてからJR横浜線の下り線に乗り、八王子に向かう。その車中で、なぜ八王子と町田を結ぶこの街道が絹の道と呼ばれるか、学生たちに説明する。 このあたりの多摩丘陵の地形地質が桑畑に向いていて、それが地域の養蚕業を盛んにしたこと。そうして絹製品の産業基盤がこのあたりにあったところに、幕末期に盛んになった生糸輸出で、山梨や長野、群馬の生糸がいったん八王子に集まり、そこから輸出港横浜まで運搬されるルートができたこと。その流通加工拠点であった八王子には富が蓄積されたし、横浜までは生糸を馬の背に乗せて運ぶにも一日では歩ききれないので、行商人たちがその中間地点の町田で一泊してお金を落としたこと。横浜で生糸を売り捌いて懐が暖まった行商人たちが、おそらく帰路についた一泊目の町田で羽根を伸ばしたので町田には町の規模の割り

    『国道16号線 「日本」を創った道』 - HONZ
  • 科学的にみると恋愛と結婚って何ですか?『どうすれば幸せになれるか科学的に考えてみた』 - HONZ

    タイトルに惹かれて『どうすれば幸せになれるのか科学的に考えてみた』というを買ってみたら、これが思いのほかおもしろかったので紹介したい。このは予防医学研究者の石川善樹とニッポン放送アナウンサーの吉田尚紀の対談である。 中身を見ずに買ったところ、読んでいる途中で、過去に両者のを読んでいたことに気がついた。吉田尚紀の『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』は、自称コミュ障の自分にとってはとても救いになったコミュニケーションの名著で、過去にどこかの媒体で紹介していたことがあったし、石川善樹の『友達の数で寿命が決まる』にいたっては過去にHONZで紹介していた。 石川善樹という人がとにかく変わっていておもしろい。彼のおもしろみがとにかくあふれているのが、第4章の「科学的にみると恋愛結婚って何ですか?」というところである。 彼は高校までずっと男子校に通っていたので、大学デビューをしようと思っ

    科学的にみると恋愛と結婚って何ですか?『どうすれば幸せになれるか科学的に考えてみた』 - HONZ
    nashiyasan
    nashiyasan 2017/10/29
    “「自分が変わればいい」って言葉があるんですけど、自分が変わると世界は勝手に変わりますよね。”
  • 『世界からバナナがなくなるまえに 食糧危機に立ち向かう科学者たち』 ロペスのハチ、チョコレート・テロ、現代版ノアの箱舟 - HONZ

    『世界からバナナがなくなるまえに 糧危機に立ち向かう科学者たち』 ロペスのハチ、チョコレート・テロ、現代版ノアの箱舟 バナナがなくなってしまうだって!? 多くの人にとっては寝耳に水であろうが、しかしこの話、けっしてありえないことではないようである。 現在、人々が口にしているバナナは、その大半が単一の品種、すなわちキャベンディッシュバナナである。そしてそのバナナには、遺伝的な多様性がまったくない。というのも、キャベンディッシュは種子がなく、株分け(新芽を移植すること)をとおして栽培されるからである。それゆえ、「キャベンディッシュバナナはすべて遺伝的に同一であり、スーパーで買うバナナのどれもが、隣に並ぶバナナのクローンなのである」。 だがよく知られているように、そうした遺伝的多様性の低い生物は、天敵などの影響をもろに受けやすい。実際、かつて人々が口にしていたバナナ(グロスミッチェル種)は、「

    『世界からバナナがなくなるまえに 食糧危機に立ち向かう科学者たち』 ロペスのハチ、チョコレート・テロ、現代版ノアの箱舟 - HONZ
  • 「生物とは何か」を問い直す──『生物はウイルスが進化させた 巨大ウイルスが語る新たな生命像』 - HONZ

    『巨大ウイルスと第4のドメイン』を筆頭に魅力的なウイルス論、入門を書いてきた著者による最新作『生物はウイルスが進化させた』は、「生物」に対する見方を根底から覆す、最新のウイルス研究成果についての一冊だ。多くの野心的な仮説と、確かにそうかもと思わせる検証でぐっと惹きつけ、読み終えた時にはウイルスに対する考え方が大きく変わっていることだろう。 まさにそれによって、「生物とは何か」「ウイルスとは何か」、そして「生物の進化とは何か」を問い直す「コペルニクス的な転回」を余儀なくされる、そんな存在こそが「巨大ウイルス」なのかもしれないのである。 内容的にはいくらか過去作との内容の重複もあるが、ウイルスとは何か、細菌との違いといった基的なところの説明から、従来のウイルス観を覆す巨大ウイルスとは何か、その特異性とは──と話をつなげ、”そもそもウイルスの定義とはどうあるべきなのだろうか”と最終章にてこれま

    「生物とは何か」を問い直す──『生物はウイルスが進化させた 巨大ウイルスが語る新たな生命像』 - HONZ
  • 『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』受け身であること、それは最高のエンターテイメントである - HONZ

    「HONZで紹介するって、どんな基準で選んでいるんですか?」そう聞かれることは結構多いのだが、いつも歯切れの悪い回答になってしまう。 むろん小説はのぞくとか、いかにもなビジネス書は紹介しないとか、ジャンルとしての縛りは色々あるのだが、それだけが重要なわけではない。要は、難解なサイエンスや分厚い歴史ばかりをスラスラ読みこなす小難しい集団、そんな風に思われることは絶対に避けたいのだ。 しかし今なら一冊のを差し出しながら、「こんなだよ」と自信を持って伝えることが出来るだろう。それが書『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』だ。 無駄に面白いーーこれ以上の贅沢が考えられるだろうか? 単に鳥類学の普及が目的というだけであれば、ここまで面白くする必要はなかったはずだ。著者の川上和人氏は、森林総合研究所で研究に勤しむ鳥類学者。以前『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』をHONZでもしつこいく

    『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』受け身であること、それは最高のエンターテイメントである - HONZ
  • 『地球を「売り物」にする人たち 異常気象がもたらす不都合な「現実」』 - HONZ

    書は、アメリカのジャーナリスト、マッケンジー・ファンクが6年の月日をかけ、24か国とアメリカの十数州を回って書きあげた力作ルポルタージュ、『Windfall』の全訳だ。 巻頭のカラー写真を見るだけでも、著者の取材がいかに多岐広範に及ぶかがうかがわれよう。書は気候変動(地球温暖化)を取りあげるが、それ自体が主役ではない。気候変動が起こっているという確信が深まれば、それを阻止する格的努力がなされるという考え方は、どうやら幻想にすぎなかったようで、人類は気候変動を早急に止めそうにない。 それでは私たちはいったい何をしているのか――それを探り、その過程で人間の性をあぶり出すことこそが、書の主眼であり、その結果は図らずも、自己保存と目先の利益を追い求める、「共有地の悲劇」と、いわゆる「現在志向バイアス」の物語となった。

    『地球を「売り物」にする人たち 異常気象がもたらす不都合な「現実」』 - HONZ
  • マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー

    『腸よ鼻よ』10指腸 2018年09月22日 澄み渡る青い空と透き通るような海、白い砂浜のある南の島――沖縄。 この島に生まれ、蝶よ花よと育てられた1人の少女がいた。 彼女の名は島袋全優。 漫画家を志し、いずれは大都会東京での タワーマ...

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  • 『帳簿の世界史』商人のジレンマ - HONZ

    長らく営業の仕事をしていることもあって、売上や原価といった数字管理はお手のものなのだが、我が家の家計のこととなると話は別である。自分が月々いくら代に使っているのか知らない。エンゲル係数も知らない。家計簿をつけようとも思わない。自分でもよくぞ、おめおめと生きているものだなと思うが、自らの欲望の痕跡を直視することが恐いのだ。 このままではヤバいことくらい、分かっている。だが、どれだけヤバいのかを客観的に知りたければ、歴史に敵うものはない。そこで、書である。 会計と歴史、双方の知見を持つ著者によって手掛けられた『帳簿の世界史』は、アダム・スミス、カール・マルクス、マックス・ウェーバーといった面々が口を揃えて主張した帳簿の力を紐解いた一冊。アクセスログやライフログといったログ全盛の現代社会に、帳簿という最も古典的なログの重要性を描き出す。 数多くの歴史で見られる光景のご多分に漏れず、帳簿の歴史

    『帳簿の世界史』商人のジレンマ - HONZ
  • 『あんなに大きかったホッケがなぜこんなに小さくなったのか』 - HONZ

    ホッケの干物といえば居酒屋メニューの定番。大皿にもおさまらないくらい大きくて、仲間たちとワイワイつつく魚。家で焼こうとしようものなら、魚焼きグリルからしっぽがはみだしてしまうような。 ところが、そのホッケがいま、年々小さくなっているという。それこそアジの干物ほどの大きさに。しかも値段は高騰、居酒屋メニューのような庶民の味ではなく高級魚になってしまったというのだ。たしかに言われてみると、スーパーの鮮魚売り場で見かけるホッケは、こじんまりと品よく高い。なぜこんなことになったのか。 ホッケの漁獲量が減ってしまったのだ。もはや海に大きなホッケはほとんど見当たらなくなっているという。1998年の20万トンをピークに、2011年にはなんと!75%減のたった5万トンになってしまった。獲りすぎたのだ。 こうして獲りすぎて、いなくなってしまった魚はホッケだけではない。マイワシ、ニシン、マサバ、ウナギ…。クロ

    『あんなに大きかったホッケがなぜこんなに小さくなったのか』 - HONZ
  • 完全食品ソイレントが突きつけるもの - HONZ

    『ニューヨーカー』の2014年5月12日号に、「ソイレント」という液状品に関する記事が掲載されました。軽~く興味を引かれて読み始めたところ、ちょっと意外なぐらいに、われわれの「」について考えさせる内容になっていたので、ご紹介してみます。 液状のべ物というのは、昨今、それほど珍しいわけではありません。減量したい人のダイエット品にも、ドロドロした飲むタイプのものがありますし、筋肉増強したい人のためにも、タンパク質メインの飲み物はあります。しかしソイレントがそれらと異なる点のひとつは、完全品を謳っている点です。これだけを摂取していれば、ほかには何もべなくてもよいというのです。 ソイレントを考案したのは、ロブ・ラインハートという青年で、品関係というよりむしろ、ITとかSNS系の起業をやりそうな感じに見えます。実際、ラインハートは、ジョージア工科大学卒業後、友人二人とともにIT関係のス

    完全食品ソイレントが突きつけるもの - HONZ
  • 『京都大学人気講義 サイエンスの発想法』世界に誇れる名講義 - HONZ

    感動を飛び越してショックだ。こんな面白い講義をリアルタイムで受けている京大生には、同じ大学生として嫉妬全開である。まあ、受験生時代のセンター試験の点数を聞かれたらぐうの音もでない訳だが、学校が違えばこんなに違うものかとつい思ってしまう。 そんな悩ましい程面白い講義とは、京都大学屈指の人気を誇る、「生命の化学」。その中から生徒に好評だった部分を選りすぐり、実際の講義の流れに沿ってまとめたものが書なのだ。 しかもこれがただの人気講義ではない。ハーバードやMITといった世界的名門大学によって設立された国際オンライン教育機関である、edXにて今年4月から、この講義の模様は世界中にネット配信されている(edxからの配信としては日初)。つまり、世界トップレベルというお墨付きを受けた超人気講義がこの一冊に収まっているという訳だ。 早速、気になる講義の内容を、プロローグより抜き出して紹介しよう。 この

    『京都大学人気講義 サイエンスの発想法』世界に誇れる名講義 - HONZ
  • アブラゼミはナッツ味?『昆虫食入門』 - HONZ

    「昆虫をべる」と聞くと眉をひそめる人も少なくないだろう。だが、世界では90カ国で1400種以上の昆虫が日常的にべられている。タイなど現在進行形で昆虫をわんさかべている国もあるし、日でもついこないだまでは羽音が聞こえるくらいバリバリと昆虫をべていたのだ。1986年に生態人類学者の野中健一氏が用昆虫の都道府県別の在否を調査したところ、イナゴやハチの子は40県以上でべられていた。ゲンゴロウやセミもそれぞれ8県、5県と少なくない。少しさかのぼり、1946年に刊行された昆虫学者の野村健一氏の書籍によると、全国で約20種類の昆虫がべれられいたという。利用例数が多い順にあげるとハチ、イナゴ、カミキリムシ、カイコ、コガネムシ、ゲンゴロウ、ガムシ、コオロギ、カマキリ、セミ、トンボ、ヘビトンボ。野村氏はこの書籍でこう記している。「昆虫は結構べられるものである」。 昆虫料理研究家である書の著

    アブラゼミはナッツ味?『昆虫食入門』 - HONZ
    nashiyasan
    nashiyasan 2012/04/26
    コチニールの件でスタバ叩きしてる人におすすめの本たちです
  • ユニークで面白い出版社30社リスト - HONZ

    同窓会で出会う旧友や出版とは全く無縁の人と会うと、「宝島みたいだね」と言われる事が多いハマザキカクです。確かに一世を風靡した『別冊宝島』の様に、難しいテーマを手柔らかに取り上げるイメージが似ているかもしれません。 ただし宝島社は今では大手出版社。そもそも一般人が名前を言える出版社は講談社、小学館、集英社、せいぜい幻冬舎や学研、ポプラ社など大手数社ばかり。それ以外の社会評論社の様な出版社は、世間での知名度は無に等しい事を日々実感しています。 そこで今回の「ハマザキ書ク」では一般人の間で「宝島っぽい」と一括りにされそうな、数々の雑学サブカル風な雰囲気を放つ、オモシロ企画型出版社を紹介していきたいと思います。出版社にはそれぞれカラーがあり、自分の感性と合う編集者が在籍している出版社からは、同系統のが沢山出されているので、を選ぶ時、「出版社買い」も十分成り立ちます。 またよく「他にハマザキカク

    ユニークで面白い出版社30社リスト - HONZ
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