がなる絶叫調が80年代以降は語り調に、定型が自由な心情表現に――。高校野球の選手宣誓の歴史を、関西学院大の陣内(じんのうち)正敬教授(55)=社会言語学=が調べたところ、こんな傾向が浮かんだ。80年代に価値観の多様化が進み、「遠慮」「秩序」の意識が薄まり、「楽しさ」「本音」を重視するようになったことが影響したとみている。 陣内教授は、毎年同じ場で行われ、記録が残りやすい選手宣誓は、言葉と社会の関係をはかる資料として貴重と着目。新聞記事やテレビなどで全文が確認できた68年以降の春・夏計28回分について、文言、長さ、口調などを分析し、実際の宣誓者ら7人にもインタビューした。 70年代までは「われわれ選手一同はスポーツマンシップにのっとり、正々堂々と……」という内容が多かった。変化の口火を切ったのは84年夏の福井商主将という。「若人の夢を炎と燃やし(中略)甲子園から大いなる未来へ向かって……