1.はじめに 一口にパンといっても、それを口にする場面はさまざまです。三ツ星レストランでフランスパンを豪華なディナーとともに食べることもあれば、朝、通勤客で混雑する駅の売店で、あんパンを牛乳と一緒に立ち食いすることもあります。 もちろん、こうした食べる際の「TPO」だけでなく、パンによって味や風味などにも違いがあります。こうした違いはどこから来るのでしょうか?要因はたくさんありますが、その1つが砂糖の添加量です。砂糖はパンのボリューム、焼き色、柔らかさ、老化、製法を大きく変えます。パンに砂糖が加えられたのは、古くはギリシア時代(はちみつ)のことです。その後、砂糖はパンの中でさまざまな使われ方をしてきました。ここでは、パンの歴史、種類、パン業界の概要を説明しながら、パン作りにおける砂糖の役割についてお話しします。 2.パンとは何か パン類の定義は、農林水産省のパン類品質表示基準では、「小麦粉