<日本でいま「ジェンダーレス男子」が話題を呼んでいるが、これは必ずしも現代的な現象ではない。同性愛も異性装も、近代以前にさかのぼる長い歴史があるからだ> 筆者は子供時代を日本で過ごし、その後も断続的に日本で暮らしてきた人類学者だ。居住期間は合わせて22年に及ぶ。しかし、筆者はいまだに、東京の原宿を訪れるたびに驚かされる。 原宿はファッション好きの若者が自分のスタイルを披露する劇場のような街だ。ヤングアダルトがカラフルで独創的な服に身を包み、混雑した路地をキャットウォークのように練り歩く。 ブティックには、男女両方のための化粧品がずらりと並ぶ。通行人の性別が分からないことも珍しくない。 例外もあるとはいえ、性差を意識させる外見(「女性らしい」、または「男性らしい」外見)は多くの場合、その人の性別を表す。そのため、日本で流行している「ジェンダーレス」スタイルは、一部の観光客を混乱させるかもしれ