「AI(人工知能)は誤解を生みやすい多義的な言葉である一方、コンピューターサイエンスの先端を開拓し、果ては科学の在り方を変えるポテンシャルを秘める」――。 Preferred Networks(PFN)の丸山宏氏は2019年6月5日、新潟県で開催された人工知能学会全国大会の招待講演に登壇し、AIの限界とポテンシャル、AI研究者が果たすべき役割について、メイン会場を埋め尽くした学会員にこう語った。 丸山氏は1983年に日本IBM入社。同社東京基礎研究所所長、統計数理研究所教授を経て、2016年にPFN入社。現在はPFN Fellowを務める。 AIの過剰宣伝を正せ まず丸山氏が問題提起したのが、AIという言葉の多義性と、それによる混乱だ。 同氏は「人工知能(AI:Artificial Intelligence)」という学問分野について「人間の知性をソフトウエアで模倣し、モデル化することで知性