これまで「和魂漢才」と「和魂洋才」で生きてきた日本人。グローバル化が急速に進む中で、日本人はあらためて「日本文明とは何か」「日本人とは何か」を問われている。これからの時代を生き抜くために、日本人に求められる教養とは何か――。宗教学者の山折哲雄氏が、有識者との対談を通して、日本人の教養を探る。 外国人から、心の奥底では軽蔑されている ――近年、日本では教養がブームになっていますが、そこで語られるのは、西洋的な教養が中心です。グローバル化が進展する中で、われわれはあらためて、「日本人としての教養」を見直す時期を迎えているのではないかと思います。西洋の猿マネとは異なる、日本らしい教養というのは、どういうものなのでしょうか。 山折:20年近く前に、東京のある経済団体から依頼を受けて講演をしたことがあります。その後の懇親会で、ある日本を代表する企業の会長さんがひとり出てこられて、突然こう言われたのを