胃腸に血が集まって脳にいかなくなるからというのは、昔から言われている俗信(ガセビア)の類ですね。科学的な根拠は無いと思います。 最近、興味深い研究結果が出ています。 脳の視床下部から分泌されるオレキシンというホルモンが鍵です。このホルモンは食欲を高めるとともに、覚醒状態維持する働きがあります。満腹し血糖値があがるとオレキシンの分泌レベルが下がります。すると食欲が抑えられると同時に、覚醒レベルが下がり眠くなるというわけです。このホルモンは、食欲を制御する遺伝子を探していたグループと、ナルコレプシー(嗜眠症)の遺伝子を探していたグループ(こちらはハイポクレチンと名づけました)が独立に突き止めたものです。 どちらの論文もCellに発表されていますが、手ごろな書籍として粂和彦著「時間の分子生物学」(講談社現代文庫)の中にも解説があります。