京都造形芸術大学 芸術学部芸術教養学科 准教授・デザイナーの早川克美さんのインタビュー連載第3回です。(以下敬称略/全4回) 第3回 「ユーザー中心主義」と「デザイン主導主義」 1. 製品中心主義への反論として生まれた「ユーザー中心主義」 楠本: 先生の本を拝読しました。本の中で、「ユーザー中心主義」と「デザイン主導主義」という二つのワードが出てきますが、それぞれの内容と違いについて教えていただけますか? 早川: 「ユーザー中心主義」というのは、もともとはコンピューターの発達の中で、より使いやすさを追求する上で、人、つまりユーザーを中心に考えるべきという考え方です。それまでは人が機械に順応しなければいけない、慣れなければいけないという「製品中心主義」でした。いや、違うだろう、人のためにコンピューターがあるべきだ、というそれまでの時代に対する反論から出発しているのが「ユーザー中心主義」です。