写真に携わるようになって30年以上の著者が「撮る者」として、「カメラマン」「写真家」「フォトグラファー」の違いを考える。『写真はわからない 撮る・読む・伝える――「体験的」写真論』(光文社)から一部抜粋・再構成してお届けする。 「カメラマン」はアサイメントの仕事を中心に撮る者 写真を撮る者のことをカメラマンといったり写真家といったりする。あるいはフォトグラファーという言い方もある。あくまで日本での話だ(そもそも、英語ではPhotographerと書く)。その使い分けは普段何気なく行われているが、それぞれに微妙に意味合いが違う。一般的に使われるカメラマンという言葉自体が英語ではなく造語、つまり日本語だ。私の場合、普段はカメラマンと名乗ることが多い。 例えば書籍や雑誌の編集者のところに電話をかけるときは必ず、「カメラマンの小林です」と名乗る。長年そうしてきたので、自然と口をつく。けっしてフォト