日本の隣国である中国、韓国、ロシアはどのような歴史観を持ち、どのような日本観を持っているのか。中国編、韓国編に続き、本稿ではロシアの歴史教科書を分析する。 出典:文藝春秋2015年5月号/文:佐藤優(作家・元外務省主任分析官) ロシアの歴史教科書 最後に、ロシアの歴史教科書を見て行きましょう。他の2カ国に比べて内容が圧倒的に難しく、大学レベルといっていい。まず面白いのは、日露戦争を帝国主義国家同士の戦争だ、と冷静に認識している部分です。 〈多様な原料を豊富に持つが、同時に政治及び軍事面では非常に弱い中国と、また中国に依存している韓国は、他のヨーロッパ諸国にとっては比較的手を伸ばしにくく、ロシアとは国境を接していた。しかし、ここでロシアは思いもよらないライバル日本と衝突した〉(『ロシアの歴史』教育出版社) 開戦を「戦争はロシアにとって深刻な試練だった」として、日本とロシアの軍事力の分析を行い