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ブックマーク / nosumi.exblog.jp (12)

  • 大学における研究費執行をどのように改善すべきか? | 大隅典子の仙台通信

    昨年も12月最後の金曜日には大きな記者会見があったようだが、今年は研究費の不正使用に関して、億を越える金額のものが、会見前からニュースに流れた。前代の教授の頃からの「預け金」が見つかったということらしい。大学が法人化以降、会計管理はどんどん明瞭化されている中で、今頃こんな事例があったのかと驚きを禁じ得ない。 さて、研究コミュニティーとしては「こんな事件があると、また種々の管理が厳しくなって余計な雑務が増えるのではないか」と戦々恐々している方が多いのではないかと思う。研究費使用の不正は分野を超えたインパクトが大きい。

    大学における研究費執行をどのように改善すべきか? | 大隅典子の仙台通信
  • 科学者は競争的すぎる環境に付いていけない | 大隅典子の仙台通信

    では平成7年に「科学技術法」が制定され、国の施策の基に科学技術を据えることにしました。5カ年ごとに「科学技術計画」が定められ、現在は平成23年に閣議決定された「第4期科学技術計画」の元に施策が立てられています。平成28年からは第5期の開始となるので、そろそろ次の計画をどうするか、という話も出始めているようです。 1990年代からいわゆる「大学院重点化」が開始され、科学技術を支えるには博士号を持った人材が必要であるという観点から、大学院生の定員が増やされてきました。そのような大学院生の次のキャリアパスとして博士研究員(ポスドク)がありますが、平成8年からの第1期の計画において「ポストドクター1万人支援計画」が策定され、ポスドクの数も増えることになりました。このようなポスドクの多くは、プロジェクトごとに雇用される有期雇用者です。したがって、5年などの任期が終了すると、次の就職

    科学者は競争的すぎる環境に付いていけない | 大隅典子の仙台通信
  • 荒木飛呂彦先生が東北大学ホームカミングデーに来たッ | 大隅典子の仙台通信

    1年ほど前から立てていた企画ですが、ついに当日を迎え、会場は大入り満員のうちに無事に終えることができました。 東北大学106周年ホームカミングデーの中で、「仙台セミナー」というイベントの企画を依頼された元々の理由は、今年が東北大学女子学生入学百周年記念であったからなのですが、次の百年を考えたときには、男女関係ないよね(そういう世界であってほしい)と思い、脳科学をまずベースにコンセプトを立てたいと思いました。 そこで浮かんだのが「ジョジョの世界」でした。 もちろん、『ジョジョの奇妙な冒険』の作者は仙台ご出身の荒木飛呂彦先生ということもあり、さらに魅力的なキャラクターとそれらの「スタンド」が現実の世界を超えて活躍していることは、脳科学の観点からも面白いと思いました。 ジョジョを知ったのは、1987年に少年ジャンプに掲載が始まってからという訳ではなく、瀬藤光利先生(現浜松医大)のCellの論文の

    荒木飛呂彦先生が東北大学ホームカミングデーに来たッ | 大隅典子の仙台通信
  • 「日本版NIH構想」じゃぁだめでしょう | 大隅典子の仙台通信

    今年はどうも、自分のまわりにいろいろな案件が、楽しいことも、そうでないことも、たくさん降ってくるというめぐり合わせらしい。やれやれ。 今日のエントリーは久しぶりに「科学技術政策」という硬派なカテゴリーですが、ここに書かれた意見は生命科学・医学系の基礎研究を行う一個人のものであることを予めお断りしておきます。 あまり表に出てきていませんが、官邸主導で「日版NIH」なる構想が検討されており、かなり近いうちに閣議決定まで持っていかれるという話が出ています。 まず「NIH」って何?というところから始めると、米国のNational Institutes of Health(国立衛生研究所)という組織で、研究所やセンターの集合体であり、それ自身が多数の研究者を抱えて研究を行うと同時に、他の研究者へもライフサイエンス系の研究費を配分するファンディング・エイジェンシーでもあります。 Wikipedia

    「日本版NIH構想」じゃぁだめでしょう | 大隅典子の仙台通信
  • ガードン&山中ノーベル賞受賞と『いのち 生命科学に言葉はあるか』【加筆しました】 | 大隅典子の仙台通信

    最相葉月の『ビヨンド・エジソン』が面白く、さらに同じ著者のものを読んでいます。 ちょうど『いのち 生命科学に言葉はあるか』を読み終わって、書評を書こうと思っていたタイミングで、10月7日、2012年のノーベル生理学医学賞の受賞者発表となり、ジョン・ガードン卿と山中伸弥さんの共同受賞となりました。 『いのち』が書かれたのは2005年、ちょうどヒト胚性幹細胞(ES細胞)が作られた頃で、エポック・メーキングなTakahashi & YamanakaのCell誌の論文が出たのが2006年です。 「生命の萌芽」である「ヒト胚」を「滅失」して作られるES細胞には、種々の倫理的問題があるのに対し、基的には体のどんな細胞からも作ることができる誘導多能性幹細胞(iPS細胞)は、将来、移植医療に応用する際の倫理的問題を回避することになるので、翌年2007年にヒトの皮膚の細胞からiPS細胞が作られたときには、

    ガードン&山中ノーベル賞受賞と『いのち 生命科学に言葉はあるか』【加筆しました】 | 大隅典子の仙台通信
  • 日本のアカデミア人材育成が危ない・その1【コメント表示】 | 大隅典子の仙台通信

    「今年は空梅雨」なんて嘯いてごめんなさい……。 昨日などは、しっかり梅雨でした。 ところで、先日、元三重大学学長の「つぼやき」ブログのアクセス数がものすごいことになった、というお話でしたが、関連したデータを示しておきます。 この10年間で若手教員のポストがいかに減ったか、これをなんとかしないと日教育も研究も科学技術振興も駄目になりますよ、ということです。 資料の元はこちら。 いろいろな問題というのは、一つの原因だけで生じるものではありません。 アカデミアポストの減少減少に至った要因には以下のようなものが考えられます。 ・少子化による学生数減少に対応するため+日の研究力を増すために「大学院重点化」政策が撃ちだされた。 ・大学院重点化により、大学院生の定員を増やすために大学院生の指導ができるとみなされる「教授」ポストを増やす必要が生じた。 ・教授を増やすために、教員の定員枠の助手(当時)

    日本のアカデミア人材育成が危ない・その1【コメント表示】 | 大隅典子の仙台通信
    poccopen
    poccopen 2012/07/08
    「おわりのはじまり」のおわり
  • 任期付ポジションについて考える | 大隅典子の仙台通信

    私の所属する東北大学大学院医学系研究科では、教員すべてが任期付ポジションだ。 これは平成14年に開始され、私も平成23年の時点(任期終了の1年前)に審査を受けた。 教授の任期は10年で再任可、准教授と講師は任期7年で1回のみ再任でその任期は5年、助教は任期6年で1回のみ再任でその任期は4年となっている。 幸い、私は次の10年も東北大で教育と研究をする権利を得ることができた。 このような制度が採用された10年少し前は、「人材を<流動>させるために任期付にする」というのが「流行」だった。 日では(多くの会社も含め)終身雇用が一般的であり、大学でも一度、助手(今なら助教)で採用された場合には、順調に成果があがっていれば講師、助教授(今なら准教授)、教授と昇進して、定年退官まで勤めあげる、というのが伝統的には理想形とみなされていた。 もちろん、A大学の助手からB大学の講師になり、C大学の助教授を

    任期付ポジションについて考える | 大隅典子の仙台通信
    poccopen
    poccopen 2012/04/27
    元資料8-4によれば、日本の研究者(専従換算)の約75%は民間所属でございます。/人口あたりのハイインパクト論文数は少ない日本→http://bit.ly/I3F1CZ(豊田先生のエントリ)
  • 基礎研究と臨床研究【加筆】 | 大隅典子の仙台通信

    研究費を頂いている新学術領域山森班(大脳皮質構築)の班会議と包括脳ネットワーク夏のワークショップ参加のために神戸に来ている。 いろいろ新しい情報をびしっと詰め込む毎日で、ちょうど夏期講習会のような気分。 日、午前中に「精神医学と脳科学のコラボレーション:今後の展望と戦略」というセッションがあり、広島大学の山脇成人先生がオーガナイズされ、基礎研究者と精神科医の発表があった。 そのお一人、理化学研究所の加藤忠史先生のご発表から印象深かったスライドを掲載する。 【追記】その後メールのやりとりをして、加藤先生のご厚意によりスライドをPPT版に変更しておきます。 もちろん、これはかなり極端に「臨床研究と基礎研究の違い」を強調している訳で、基礎研究者だって、目の前の患者さんではないけど、将来、世界の多数の患者さんを治したい、と思っている人はいるだろうし、臨床の研究者だってハイインパクトジャーナルに自

    基礎研究と臨床研究【加筆】 | 大隅典子の仙台通信
    poccopen
    poccopen 2011/08/23
    試薬や機器の業者さんも、「~先生」派と「~さん」派に分かれる気がしますですね。/ちなみに、当地ではほとんどいつでもファーストネームなので、割とらくちんです。
  • 研究者のアウトリーチ活動について考える(その5):科学雑誌ってどうよ? | 大隅典子の仙台通信

    日はうちの大学院生の一人が学位審査を受け、とりあえずステップがまた一つ進んだところ。 研究者人生双六において、結構、試練が続く期間。 大学によって基準は異なるが、論文投稿、学位申請、第一次審査、論文再投稿、などなど……。 なので、抱えている大学院生が多ければ、教育(=科学人材育成)にかかる時間も多い訳で、それが教員としての務の中ではプライオリティーの高い事項となる。 さて、日の「研究者のアウトリーチ活動」の例は、科学雑誌を介して。 日の科学雑誌といえば、今なら「Newton」と、「日経サイエンス」(日語版Scientific American)が二大巨頭だろうか。 (今、ウェブサイトを見たら、紅組と青組だったのが面白い) 個人的には「Newton」よりも岩波書店の「科学」や「日経サイエンス」を読むことが多い。 かつては「科学朝日」「Quark」「科学と学習」の「〜年の科学」などが

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    poccopen
    poccopen 2010/11/06
    画像や映像の公開が容易になったことで、研究者が現場で実際に目にしている現象(に近いもの)を誰もが見られるようになりつつある、という状況は歓迎したいと思います。文章以上にその楽しみ方は多様であり得ますし。
  • 研究者のアウトリーチ活動を考える(その4):タダで行ってばかりでいいの?(追記あり) | 大隅典子の仙台通信

    研究者のアウトリーチ活動を考える(その4):タダで行ってばかりでいいの?(追記あり) 2010年 11月 04日 研究者のアウトリーチ活動についての事例の続きを。 昨年の政権交代を受け、年6月19日付けで科学技術政策担当大臣および総合科学技術会議有識者議員の名前において「〈国民との科学・技術対話〉の推進について(基的取組方針)」が提出されたことを受け、検討会が発足し、その委員を仰せつかっている。 検討会は、「科学技術と社会との対話(研究者のアウトリーチ)」に関する問題意識を、行政・科学技術コミュニティ・市民・産業界が共有し、望ましい方向を模索し、これらの成果を政策等のあり方などに反映させることを目標としています。 私の立ち位置としては、 3,000万円以上の公的研究資金を獲得した研究者に国民との科学・技術対話(アウトリーチ活動)を義務づける なんて乱暴なことにならないように議論の行く

    研究者のアウトリーチ活動を考える(その4):タダで行ってばかりでいいの?(追記あり) | 大隅典子の仙台通信
  • 研究者のアウトリーチ活動を考える(その2):CREST市民公開シンポジウム | 大隅典子の仙台通信

    この3月末までお世話になった戦略的創造研究CREST「脳の機能発達と学習メカニズムの解明」の第6回公開シンポジウムが開催された。 今回で最後ということもあって、当は最初からすべて聴きたかったのだが、午前中は元学生のお父様の会葬参列に出かけてきたので、午後からの参加。 ちょうど「研究者のアウトリーチ活動」について考えたいところなので、日はこちらをご紹介。 数日前に書いた拙ブログには、歴代記録を塗り替えるアクセス数があった。 研究者のアウトリーチ活動を考える(その1):サイエンスカフェをしなきゃいけないの? ことの発端は今年6月に行われた「3,000万円以上の公的研究資金を獲得した研究者に国民との科学・技術対話(アウトリーチ活動)を義務づける」という総合科学技術会議の決定なのだが、繰り返すが、公表されている文章の中には「義務づける」とまでは書かれていない。 「国民との科学・技術対話」の推進

    研究者のアウトリーチ活動を考える(その2):CREST市民公開シンポジウム | 大隅典子の仙台通信
    poccopen
    poccopen 2010/10/31
    『研究成果そのものを伝えることだけではなく、「研究に携わる人々」がいることを伝えたかった』激しく同感であります。気軽な感覚で「僕はこの研究者のファンなんです」って人が現れるような伝え方をしたいです。
  • 研究者のアウトリーチ活動を考える(その1):サイエンスカフェをしなきゃいけないの? | 大隅典子の仙台通信

    研究者のアウトリーチ活動を考える(その1):サイエンスカフェをしなきゃいけないの? 2010年 10月 27日 論文のリジェクトが一度に2つ届いていたという憂な朝だったが、9時からは東北ーリヨン・オータムスクールin 仙台の講義が入っていて、くよくよ考えている場合ではなかった(苦笑)。 多様なバックグラウンドの学生達(修士課程くらいが中心)20人弱を相手に英語での講義だったが、あっという間に75分くらい過ぎ、その後10分くらいを質疑応答にした。 いくつかジョークも盛り込み、途中での質問なども入れ、むしろ日人学生さんよりもノリが良いところもあって、まぁまぁの仕上がりだったかな。 もうちょっと洗練されたボキャブラリーが増えると良いのだけど、今回はフランス他、英語がネイティヴではない方々相手だったので、それでもまぁ大丈夫だったかも。 その後ラボに行って学生さんとディスカッションした後、東京へ

    研究者のアウトリーチ活動を考える(その1):サイエンスカフェをしなきゃいけないの? | 大隅典子の仙台通信
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