久しぶり会っての第一声が「眼鏡がない!」っていうのは、どうなの、と言われたのは表参道のカフェだった。あたらしい仕事の話も含めて、会って話そうと待ち合わせた午後で、きっかけはFacebookだった。 わたしは彼のパーツをよく覚えていた。 黒縁眼鏡のつるはし、Tシャツに書かれた英単語、ブレスレットの金具のかたち。 何年ぶりか思い出せないほど久しぶりに会った彼からは、それらはすべて消えていて、コーヒーを待つ間に自分が誰と待ち合わせたのだったか、見失ってしまいそうだった。 話す内容もお互い様変わりしていた。周りに対して文句や不満が多かったあの頃とは違って、ある程度の諦めと、目先ではなく未来を見て逆算する考え方を身につけていた。やるしかないから、と言いながら、たくさんの問題を黙々と処理する世代になってしまったのだろう。 大人になったねえ、とありがちな枕詞をはさみながら、わたしたちは旺盛に話した。 ま