台風で中止になった昨年10月の美学会全国大会におけるシンポジウムを、会場であった成城大学にご協力いただいて、今年1月12日(日)に開催することができた。美学会が抱えるさまざまな問題が議論されたが、その中で、組織における男女比のバランスについての問題提起があった。これは美学会に限らない日本社会の一般的問題であるので、その時の議論を思い出しながら少し考察してみたい。 学会に限らず多くの組織において、委員会や理事会など、管理や決定の権限を持つグループの構成員は、その男女比率が組織の構成員全体の男女比率と同じではない。言うまでもなく、上層に行くほど男性比率が高くなるのである。これは数字として明白な歪みであり、異常なことである。そのことを、女性の構成員が指摘すると、現代なら男性の構成員もたいていの場合、たしかにそれはおかしいと同意し、表立って反対する人はほとんどいない。一見広く理解されているようであ