もはや日本のメディアで目にしない日はない「推し文化」は、英語圏ではファンダム・カルチャーと言われる。アイドル、スポーツ選手、アニメキャラからもはや素人と区別のつかないYouTuberや地下アイドルに至るまで、様々なものを人は「推し」、それを自分のアイデンティティのように語る。20世紀後半にオタク文化と揶揄されたマニアックな消費活動は、21世紀になって誰もが実践する「推し文化」となった。同様に欧米でもナード〔英語で「オタク」を意味する〕カルチャーはファンダム・カルチャーとして市民権を得て今に至る。アメリカ大統領だったバラク・オバマが自分をナードだと呼び、人々がそれをクールだと受け取ったのは2016年のことだ。 ファンダムによる「推し活」は経済をも駆動している。推しの活動をSNSでチェックし、推しのグッズを買い、推しと他企業とのコラボに足を運び、推しの公演チケットに何口も応募するなど、推し活の
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