四捨五入して30歳。酒と歌を愛します。飲み屋で社長と知り合ったのが人生の転機。事実は小説よりも奇なり。 早速、作業に取り掛かろうと思った。 メソッドは確かこうだったなぁ、などと考えながら書いていく。実は、レビュー用にと思って、ソースを印刷していたものがあった。少し古い状態のソースだが、ないよりははるかにましである。 分からなくなったらそれを見て確認し、作業を進めていく。ふと、横を見るとツルマキの手がまったく動いていない。 「どうしたんだ?」 気になって小声で話しかけた。左手にはエグチさんがいる。気づかせてはいけない。 「全然覚えてない」 「え?」 「ソースが全然思い出せない」 なんということだ。連日質問をし、周囲が一生懸命回答してそれを四苦八苦しながら自分なりに消化して書いたソースを覚えていないというのか。もちろん全部覚えているのは無理だろうが、まったく覚えてないとは……。 「例えばLoa