このところ「デザイン思考」あるいは「デザインシンキング」という言葉を目にする機会が増えた、と思う人が多いのではないか。中身をよく知らない人がこの言葉に接したとき、「モノか何かをデザインする際の思考法」と即断してしまい、「美術とは縁のない私には関係なし」と早合点することもあるに違いない。 デザイン思考の本質について語れますか? ところが、このデザイン思考が一般的なビジネスの現場に浸透し始め、ヤフーなどといった大手IT企業も採用するに至っている。では、そもそもデザイン思考とは何なのか。実はこの思考法、アイデア発想とも大いに関係があるのだ。 私たちは「デザイン」という言葉をごく一般的に利用する。ただし、デザインに対する一般的な認識とは美術と直結したもので、図工や絵画が不得意だった人にとってはどこか敬遠したくなる言葉に違いない。しかしながらデザイン思考とは、図案や意匠を考えるための思考法ではない。