「使いこなさないと製薬会社として劣後してしまうかもしれないし、うまく使いこなすと競争優位性を築けるかもしれないと直感的に思った」――。中外製薬の奥田修社長は生成AI(人工知能)の急速な普及を目の当たりにして、このように感じたという。 中外製薬は2023年8月、米Microsoft(マイクロソフト)の生成AIサービス「Azure OpenAI Service」を利用した「中外版ChatGPT」を全社展開した。他にも米Google(グーグル)の大規模言語モデル(LLM)「Med-PaLM 2」や米Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス、AWS)の生成AIサービス「Amazon Bedrock」を活用し、生成AIによる業務の効率化などに取り組んでいる。 インフラ基盤整備や組織風土改革が実る 中外製薬が早期に生成AIを使い始めることができたのは、2020年頃から進めるI