出演者が麻薬取締法違反罪で有罪となった映画「宮本から君へ」をめぐり、製作会社「スターサンズ」(東京)が日本芸術文化振興会(芸文振)を相手に、助成金の不交付決定の取り消しを求めた訴訟の上告審で、最高裁第二小法廷(尾島明裁判長)は17日、決定を取り消す判決を言い渡した。不交付を妥当とした二審・東京高裁判決を破棄し、製作会社側の逆転勝訴が確定した。 【写真】「映画こそ、自由であるべき」法廷に響いた、亡き社長の信念 裁判官4人全員一致の判断。最高裁は「抽象的な公益を理由とする不交付が広がれば表現行為が萎縮する可能性があり、憲法21条が保障する表現の自由の趣旨に照らしても看過しがたい」と述べた。 芸文振は文化庁が所管する独立行政法人。「宮本から君へ」に1千万円の助成金交付を内定していたが、2019年7月、出演者の有罪判決を理由に「公益性の観点から適当ではない」として一転、不交付を決めた。