お笑い芸人に話題作りで賞を与えて、と批判する人もいる。でも一方で「又吉は本物」と評する人も多い。芸人らしからぬ「静かな男」は、一体どんな半生を送ってきたのか。両親、恩師が語る素顔。 玩具のない家で育った 「周りの方は『すごいね』と祝福してくださるのですが、親としてはこれからが大変だなと思っています。心配のほうが強いですね。もともとあの子は人見知りで、華やかなことがあまり似合わない子ですから……」 こう語るのは、お笑い芸人「ピース」又吉直樹の母親、みよ子さんだ。又吉は、敬愛する太宰治も取れなかった芥川賞を受賞し、一躍時の人となった。受賞作の処女小説『火花』は124万部を突破し、まだ売れ続けている。 芸人としては爆発的に売れているわけではなかったが、「ピース」の名の通り、少し心が和むコントを得意としている。不思議な雰囲気を醸す、この又吉という男は何者なのか。両親の証言を元に、その素顔を探ってい