吉野彰さんのノーベル賞で2000年の白川英樹さんから始まった受賞ラッシュは19人目。日本の科学力低下は近年歴然で、年に1人という現状から受賞枯渇が迫りメディアも警鐘を鳴らすものの、政策転換は全く見えません。昨年の本庶佑さん受賞報道に比べて違った点は、どのマスメディアもリチウムイオン電池開発を称える記事の後段に日本の論文数や世界での研究注目度が下がってきた憂慮を盛り込んでいました。昨年は国の科学技術白書が悲痛な叫びをあげていたのに報道側が理解していませんでしたが、ようやく追いついたのです。しかし、財政難を口実に惰性に流れる政府が抜本的に政策を改める気配はありません。 昨年の第593回「本庶ノーベル賞は日本科学力失速で歯止めにならず」をはじめ、一昨年の英ネイチャー誌特集「日本の科学力は失速」を理解しようともしなかった問題を取り上げた第554回「科学技術立国崩壊の共犯に堕したマスメディア」など連