一昔前は「ゆるキャラ」で町おこしが流行したが、近年は「萌(も)えキャラ」を使う流れが出てきている。自治体が萌えキャラで地元のPRをした結果、炎上した事例は多々あるが、最も知られるケースのひとつが「碧志摩(あおしま)メグ」だろう。 2014年、三重県志摩市は、「17歳の海女」という設定の碧志摩メグを公認キャラクターとした。だが反対する署名運動が起き、結局市は公認を取り消した。特筆すべきなのは、現役も引退も含めて当事者である地元の海女たちから、このキャラは過度に性的であり私たちの仕事にリスペクトがない、という声が上がったことである。 恥ずかしそうに頬を赤らめた笑顔、身体のラインを際立たせる不自然な着物のひだ、腿(もも)まではだけた足…。その姿態は直接的に「エロ」を連想させ、職業人である当事者の尊厳を傷つけているという指摘には納得する。私の教えている学生は「冷たい海で海産物をとるのは命懸けの仕事