車の渋滞を解決する「渋滞学」という学問が注目されている。様々な場所に現れる「渋滞」現象のメカニズムを物理学的な視点から研究しているのが、東京大学先端科学技術研究センターの西成 活裕 教授。車の渋滞に限らず、人、アリ、物流からインターネット、そして生体内などの流れが不安定化する現象を一種の相転移現象として扱い、理論・シミュレーション・実験や観測など全般的に取り組む西成教授に、「渋滞学」学問の面白さと可能性について伺った。 数学や物理の手法をベースにあらたな学問を創造 Q:まずは、基本的な研究の概要についてお聞かせください。 「渋滞学」は、15年ほど前に私が独自に命名したもので、それまで10年以上にわたって取り組んできた様々な渋滞研究をまとめた学問のことを指しています。ふつうは渋滞と聞くと、多くの人は車の流れを思い浮かべると思います。しかしよく考えれば車だけではなく、人が混雑していることも広い