売れる店、うまい店は知っている「顧客体験」の重要性 「顧客の体験」というコンセプトを語るとき、「旗艦店」ありきの発想はもう終わりにしたい。これにはいくつか理由がある。 第1に、私の経験上、旗艦店は社内的に、やりたい放題の手に負えない子供のような存在になりがちなのだ。店舗全体の運営を担うチームにしてみれば、こうした旗艦店は、往々にしてマーケティング上、不必要な存在である。 軽薄でカネ食い虫で見掛け倒しと見られていることも少なくない。業務の面からは「実店舗」とは言い難い存在なのである。 逆に、マーケティング関係者は、旗艦店を店舗運営の領域と見ていて、体験を構成する美的な部分や贅沢な部分に息を吹き込むのが旗艦店だと考えている。旗艦店が力を発揮できず、期待に応えられなければ、たびたび責任のなすり合いに発展する。全員に責任があるからこそ、誰も責任を負わないのだ。 第2の問題は、旗艦店には独自性がある