阿部公彦さん=家老芳美撮影 阿部公彦(あべ・まさひこ) 1966年、神奈川県生まれ。英文学者。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。ケンブリッジ大学大学院で博士号取得。現在、東京大学大学院人文社会系研究科教授。専門は近現代の英米小説や英米詩だが、英・米の境界や小説・詩の境界にこだわることなく、日本の詩や小説も含みながら、個別のテーマを設定して研究している。主な著書に『文学を〈凝視する〉』(岩波書店)、『英文学教授が教えたがる名作の英語』(文藝春秋)など、訳書にマラマッド『魔法の樽 他十二篇』、オコナー『フランク・オコナー短篇集』(いずれも岩波文庫)などがある。 強い言葉がもてはやされる世の中で ――書名の「病んだ言葉」とはどういうことでしょう? 最近、言葉の強さばかりが注目されていると思いました。言葉の上手な使い手、インパクトのあることを言う人、相手を論破する人など、言葉の「強面さ」み