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蓮實重彦の検索結果1 - 40 件 / 48件

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蓮實重彦に関するエントリは48件あります。 映画批評movie などが関連タグです。 人気エントリには 『二十一世紀の日本の首都に於ける超高層ビルの林立はその国の凋落を予言しているように思えてならない|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま』などがあります。
  • 二十一世紀の日本の首都に於ける超高層ビルの林立はその国の凋落を予言しているように思えてならない|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま

    蓮實重彥さんの連載時評「些事にこだわり」第15回を「ちくま」9月号より転載します。延々とつづく渋谷駅周辺の再開発。東横線の地下化はじめ誰も便利になったとは思っていないはずの一連の大工事は都市再開発法によると「公共の福祉に寄与することを目的とする」そうなのだが、本当に? との疑問についてお話しさせていただきます。 避けようもない暑い日ざしを顔一面に受けとめながら、タワーレコードの渋谷店で購入した海外の雑誌を手にしてスクランブル交差点にさしかかると、すんでの所で信号が赤となってしまう。階段を降りて地下の通路に向かう方法もあるにはあったが、年齢故の足元のおぼつかなさから灼熱の地上に立ったまま青信号を待つことにしていると、いきなり、かたわらから、女性の声がフランス語で響いてくる。ふと視線を向けると、「そう、シブーヤは素晴らしい」と「ウ」の部分をアクセントで強調しながら、スマホを顎のあたりにあてた外

      二十一世紀の日本の首都に於ける超高層ビルの林立はその国の凋落を予言しているように思えてならない|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま
    • 久方ぶりに烈火のごとく怒ったのだが、その憤怒が快いあれこれのことを思いださせてくれたので、怒ることも無駄ではないと思い知った最近の体験について|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま

      久方ぶりに烈火のごとく怒ったのだが、その憤怒が快いあれこれのことを思いださせてくれたので、怒ることも無駄ではないと思い知った最近の体験について 蓮實重彥さんの連載時評「些事にこだわり」第17回を「ちくま」1月号より転載します。昨秋に開催された小津安二郎生誕百二十周年のメモリアル・イベントは、なぜ失望のうちに終わってしまったのか。その二十年前、著者自身も深く関わった生誕百年・没後四十年の記念イベントとの違いを思い起こします。ご覧下さい。 なかには例外的に聡明な個体も混じってはいるが、これからこの文章を書こうとしているわたくし自身もその一員であるところの人類というものは、国籍、性別、年齢の違いにもかかわらず、おしなべて「愚かなもの」であるという経験則を強く意識してからかなりの時間が経っているので、その「愚かさ」にあえて苛立つこともなく晩期高齢者としての生活をおしなべて平穏に過ごしている。ところ

        久方ぶりに烈火のごとく怒ったのだが、その憤怒が快いあれこれのことを思いださせてくれたので、怒ることも無駄ではないと思い知った最近の体験について|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま
      • コーヒーの豆は遍在していながらドリップ・フィルターが近くに見あたらぬと、不意に親しい女性のお尻が見えてきたりするのはなぜか|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま

        コーヒーの豆は遍在していながらドリップ・フィルターが近くに見あたらぬと、不意に親しい女性のお尻が見えてきたりするのはなぜか 蓮實重彥さんの連載時評「些事にこだわり」第16回を「ちくま」11月号より転載します。ありふれた朝食について、パンについて、コーヒーについて、コーヒーを淹れるためのドリップ・フィルターについて、なめらかに横滑りする行文は果たして半世紀以上前のドリップ・フィルターをめぐる一場面に至りつきます。まるで映画の一シーンのような光景の鮮やかさ、艶めかしさ。そう思うと、ドリップ・フィルターの曲線も不思議なバランスで実用性と官能性を表しているようにも思えます。ご覧下さい。 朝食だけはごく几帳面に食べたいという思いは、独身だった半世紀ほど前から老齢の妻帯者となったいまにいたるまでまったく変わることはないはずだが、ひとまず「ごく几帳面に」と書いておいたのは、それがいささかも豪華なものでは

          コーヒーの豆は遍在していながらドリップ・フィルターが近くに見あたらぬと、不意に親しい女性のお尻が見えてきたりするのはなぜか|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま
        • 青山真治をみだりに追悼せずにおくために/蓮實重彦|「新潮」編集部

          まだまだ元気だった頃のその人影や声の抑揚などをせめて記憶にとどめておきたいという思いから、死化粧を施されて口もきくこともない青山真治――それは、途方もなく美しい表情だったとあとで聞かされたのだが――の遺体に接することなどこの哀れな老人にはとても耐えられそうもなかったので、その旨を伴侶のとよた真帆に電話で告げることしかできなかった。そのとき、受話器の向こうで気丈に振る舞う真帆の凜々しさには、ひたすら涙があふれた。こうして青山真治の葬儀への参列をみずからに禁じるしかなかった老齢のわたくしは、その時刻、式が行われているだろう空間へと思いをはせながら、さる日刊紙のため、映画作家としての彼の特異な魅力と思いもかけぬ素晴らしさをあれこれ書き続けていたのだが、つもる思いとそれを伝えようとする言葉とが、新聞特有の行数と字数の制限に阻まれてひたすら空転するしかなく、思うように筆が進むはずもない。だから、その

            青山真治をみだりに追悼せずにおくために/蓮實重彦|「新潮」編集部
          • 蓮實重彦、『ジョン・フォード論』を語る【前編】──“愚かにも半世紀近い時間をかけて、あまり緻密ではない老人がなんとか辿り着きました”

            批評家の蓮實重彥さんは、いままでにいくつも偉業を成し遂げてきた。『映画の神話学』(1979)や『監督 小津安二郎』(1983)によって日本の映画批評に革新をもたらし、『夏目漱石論』(1978)や『表層批評宣言』(1979)によって文芸批評界に波瀾を起こし、『「ボヴァリー夫人」論』(2014)というフランス文学研究の記念碑的著作を上梓したかと思いきや小説『伯爵夫人』(2016)の三島由紀夫賞受賞によって時の人となる──そんな蓮實さんが、この7月に新著『ジョン・フォード論』(文藝春秋)を刊行した。西部劇映画の監督として知られるジョン・フォードをとことん論じた同書は、蓮實さんの映画批評の金字塔として発売前から大きな期待を集めてきた。『ジョン・フォード論』に込められた思いについて、蓮實さんに話を聞いた。(入江)

              蓮實重彦、『ジョン・フォード論』を語る【前編】──“愚かにも半世紀近い時間をかけて、あまり緻密ではない老人がなんとか辿り着きました”
            • オリンピックなどやりたい奴が勝手にやればよろしい|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま

              蓮實重彥さんの短期集中連載時評「些事にこだわり」第1回を「ちくま」5月号より転載します。東京オリンピックは2020のみならず1964もたいがいロクなものではなかった!? どちらかといえばスポーツが好きな人間なので、オリンピックという何やら禍々しい国家的な行事にはあまり関心が向かない。だからといって、その開催に断乎反対というほどの強い執着を持っているわけでもない。やりたい奴がいるなら勝手にやればよろしいというだけの話である。ただ、少なからず存在しているオリンピックへの無関心層を、「日の丸=君が代」騒動に巻き込むなとだけはいっておきたい。その思いは、例えばサッカーのワールドカップについてもいえることで、国を背負って優劣を競いあう競技などと、選手たちがそれを意識した瞬間にスポーツであることをやめてしまう。 例えば、いま終わったばかりのサッカー2022カタール大会の二次予選で日本がモンゴルを14対

                オリンピックなどやりたい奴が勝手にやればよろしい|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま
              • ゴダールが映画を一新…それは真っ赤な噓である 蓮實重彦さん寄稿:朝日新聞デジタル

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                  ゴダールが映画を一新…それは真っ赤な噓である 蓮實重彦さん寄稿:朝日新聞デジタル
                • 第1回 執筆中の『ジョン・フォード論』について | 映画の「現在」という名の最先端 ――蓮實重彦ロングインタビュー | 蓮實重彦 | 対談・インタビュー | 考える人 | 新潮社

                  韓国のインディペンデント映画誌「FILO」。世界各国のシネフィル(映画通)に直接原稿を依頼するという意欲的な編集方針で知られる同誌には、過去に日本を代表する映画監督である黒沢清氏・諏訪敦彦氏、俳優の加瀬亮氏らも寄稿しています。そして、最新の第13号には、長年国内外の映画批評をリードし続けてきた蓮實重彦氏のメールインタビューが掲載。今回、蓮實氏と「FILO」編集部のご厚意により、「考える人」で特別にその日本語版を公開することになりました。 今年84歳を迎えた「映画狂人」は、自らが体験した映画史、さらに最前線を見据えて何を語るのか? 映画時評から離れて久しい蓮實氏が現代の映画監督についても率直な評価を明かしたこのロングインタビュー、聞き手を務めたホ・ムニョン氏による充実した後記とあわせて、ぜひお楽しみください。 ――まず初めに私どものような小さな雑誌の書面インタビューに応じていただき、誠にあり

                    第1回 執筆中の『ジョン・フォード論』について | 映画の「現在」という名の最先端 ――蓮實重彦ロングインタビュー | 蓮實重彦 | 対談・インタビュー | 考える人 | 新潮社
                  • 映画監督・青山真治さんを悼む  蓮實重彦(映画批評家) - 日本経済新聞

                    ジャン=リュック・ゴダールの『勝手にしやがれ』(1960年)以降、映画はどう撮ってもよいという愚かな思いこみが世界に行きわたった。だが、優れた映画作家は、誰もが被写体に向けるキャメラの位置、距離、アングル、そのショットの長さなどを、これしかないという絶対的なものとして映画を撮っている。しかも、その技術的な厳格さは、彼らが世界に向ける瞳のしなやかさを損なうものではない。『空に住む』(2020年)

                      映画監督・青山真治さんを悼む  蓮實重彦(映画批評家) - 日本経済新聞
                    • 濱口竜介監督「悪は存在しない」の不気味な単純さ 蓮實重彦さん寄稿:朝日新聞デジタル

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                        濱口竜介監督「悪は存在しない」の不気味な単純さ 蓮實重彦さん寄稿:朝日新聞デジタル
                      • マイクの醜さがテレビでは醜さとは認識されることのない東洋の不幸な島国にて|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま

                        蓮實重彥さんの短期集中連載時評「些事にこだわり」第2回を「ちくま」7月号より転載します。テレビというメディアの鈍感さ、が放置される日本という国の鈍感さについて。 そもそもが雑駁な装置にすぎないテレヴィジョンというものの視覚的メディアとしての役割はとうの昔に終わっているから、いまさらその悪口をいったり文句をつけてみたりしても始まるまいが、そのちっぽけな画面に対する蔑みの思いは、いまも収まることがない。そう、わたくしはテレビというものを侮蔑してきたし、いまも侮蔑しているし、これからもまた侮蔑し続けるだろう。だからといって、それがしかるべき社会的な態度の確かな表明だなどといいつのるつもりはない。あたかも視覚的なメディアであるかに振る舞っているテレビというものが、本質的に音声メディアにほかならぬという厳然たる真実を、その装置をあげて隠していることが醜いというだけのことだ。 実際、映画の画面とテレビ

                          マイクの醜さがテレビでは醜さとは認識されることのない東洋の不幸な島国にて|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま
                        • アカデミー賞という田舎者たちの年中行事につき合うことは、いい加減にやめようではないか|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま

                          蓮實重彥さんの短期集中連載時評「些事にこだわり」第7回を「ちくま」5月号より転載します。2022年3月、北米の一角のお祭り騒ぎと無縁に起こってしまった真の映画史的損失について――。 一応は大スターと呼んでおこうウィル・スミスさん――新聞の表記に従う――によるさるコメディアンの顔面平手打ち事件で記憶されることになりそうな今年のアカデミー賞授賞式だが、それ以前から令和日本のマスメディアはかなりの盛りあがりを見せていた。それは濱口竜介監督の名前が複数の部門に候補として挙げられていたからにほかなるまいが、いったんノミネートされたからには貰っちゃうにこしたことはないのだから、『ドライブ・マイ・カー』(二〇二一)で「国際長編映画賞」を手にして、お前さんがオスカーかよとつぶやいた濱口監督にとって、それはひとまず目出度いことだったといってよかろうと思う。 おかげで、日本国の某官房長官までがしゃしゃり出て、

                            アカデミー賞という田舎者たちの年中行事につき合うことは、いい加減にやめようではないか|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま
                          • 第1回 「この人枯れてない」 | 古井由吉×蓮實重彦「終わらない世界へ」 | 古井由吉 , 蓮實重彦 | 対談・インタビュー | 考える人 | 新潮社

                            著者: 古井由吉 , 蓮實重彦 先日亡くなった古井由吉さんは、『辻』単行本刊行時に、蓮實重彦さんと「新潮」2006年3月号にて対談をしました。時代をリードしてきた同い年の小説家と批評家でありながら、お二人の対談はこの一度きりです。古井さんの追悼特集を組んだ「新潮」2020年5月号の蓮實重彦さんの追悼文にも、この対談の話が出てきます。対談を構成したのは私なのですが、緊張感と文学的高揚感のあふれるお二人の対話の場に立ち会えた記憶は、一生消えそうにありません。今回、古井さんご遺族と蓮實重彦さんのご厚意により、「新潮」掲載版の対談を復刻掲載いたします。(編集長 松村正樹) 古井 蓮實さんとは初めての対談になりますが、大学では同級生ですね。 蓮實 そう。東大では駒場の二年間同じクラスだったわけだし、立教大学では紛争中に教員として同僚だった。 古井 そうなんですよ。 蓮實 これも二年一緒でした。二人が

                              第1回 「この人枯れてない」 | 古井由吉×蓮實重彦「終わらない世界へ」 | 古井由吉 , 蓮實重彦 | 対談・インタビュー | 考える人 | 新潮社
                            • ゴダールが映画を一新…それは真っ赤な噓である 蓮實重彦さん寄稿:朝日新聞デジタル

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                                ゴダールが映画を一新…それは真っ赤な噓である 蓮實重彦さん寄稿:朝日新聞デジタル
                              • パソコンの故障は、この電子装置への感性的な執着をより強固なものとしてくれたのだろうか|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま

                                蓮實重彥さんの連載時評「些事にこだわり」第11回を「ちくま」1月号より転載します。小誌連載や筒井康隆氏との対談本などの執筆に際して起こっていたささやかだけれど重大な事件とは――。 仕事机の上にどさりと置かれ、かなりの空間を占拠しているパソコンという名の電子的な装置に、これといった愛着を覚えることはまずなかったといってよい。例えば、ブルー・ブラックのカートリッジを装填した年季もののモンブランの万年筆の場合、あたりに見あたらずふと気がかりになっていたりするときなど、それがあまり着なれぬスーツの内ポケットや手鞄の底から出てきたりすると、いつもほっとして心が安まるものだが、それに似た愛着のようなものを、このパソコンに対してはついぞ覚えたためしはなかったのである。 然るべきキーに触れればたちどころに作動してくれるその装置との関係は、もっぱら職業的な習慣性というか、機械的な即応性というか、いずれにせよ

                                  パソコンの故障は、この電子装置への感性的な執着をより強固なものとしてくれたのだろうか|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま
                                • 政府は、いざという瞬間に、国民の生命を防衛しようとする意志などこれっぽっちも持ってはいないと判断せざるをえない|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま

                                  蓮實重彥さんの短期集中連載時評「些事にこだわり」第9回を「ちくま」9月号より転載します。安倍元首相の突然の暗殺をめぐってあらわになるこの国の底の抜け方について。 些事にもあたらぬごく他愛のないできごととして処理されてしまったので多くの方がすでに忘れておられるとは思うが、まだ世の中があの「平成」というごくぶっきらぼうな年号だった時期に、俗にいう「首相官邸無人機落下事件」という不穏なできごとが起こっていた。あるとき、職員の一人が、官邸の屋上ヘリポート近くに、いつからそこに位置していたのかまったく不明な黒塗りのドローンを発見したというのである。それがごく普通な一人の職員によってなされたもので、首相の身辺警護にあたる専門職の一員でなかったことが、事態に不穏な色合いをにわかに高めることになる。この国は、自衛隊という組織の存在にもかかわらず、こと防衛に関しては、ほぼ素人同然のことしかやっていそうにない

                                    政府は、いざという瞬間に、国民の生命を防衛しようとする意志などこれっぽっちも持ってはいないと判断せざるをえない|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま
                                  • 大江健三郎さんを悼む 蓮實重彦さん「ノーベル賞とったからでない」:朝日新聞デジタル

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                                      大江健三郎さんを悼む 蓮實重彦さん「ノーベル賞とったからでない」:朝日新聞デジタル
                                    • 「バーカ!」といっておけばすむ事態が、あまりに多すぎはしまいか|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま

                                      蓮實重彥さんの短期集中連載時評「些事にこだわり」第6回を「ちくま」3月号より転載します。振り込め詐欺詐欺からデジタル庁、そして海のこちらとあちらの首相たち……些事たちが深刻ぶってざわめくこの世界に投げかけるべき言葉とは――。 このところ、固定電話器にかかってくる電話など碌でもないものばかりだ。実際、ついさきほど、拙宅の前の通りをどうやら警察の車輛が通っていたようで、今日はこの界隈に振り込め詐欺の電話が多くかかっているので、不審な者を見かけたらご一報願いたいとスピーカーで述べたてている。そのとたん、いきなり固定電話のベルが鳴るので息を殺して受話器を取り上げると、それはほかでもない、旧知の映画作家からだった。わたくしのスマホにかけてくれたが、なかなか出ないのでつい固定電話にしてしまったとのこと。だが、すぐには名前が確認できず、失礼な対応をしてしまったかもしれない。事情を説明すると、相手も笑って

                                        「バーカ!」といっておけばすむ事態が、あまりに多すぎはしまいか|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま
                                      • daisuke kataoka/片岡大右 on Twitter: "蓮實重彦は1970年代においてすでにママレモンの商品名に反対する投書を考えていた…金井美恵子のほうが鷹揚な態度を示しているのも興味深い(現代詩手帖1979年11月号) https://t.co/1Vabce7foU"

                                        蓮實重彦は1970年代においてすでにママレモンの商品名に反対する投書を考えていた…金井美恵子のほうが鷹揚な態度を示しているのも興味深い(現代詩手帖1979年11月号) https://t.co/1Vabce7foU

                                          daisuke kataoka/片岡大右 on Twitter: "蓮實重彦は1970年代においてすでにママレモンの商品名に反対する投書を考えていた…金井美恵子のほうが鷹揚な態度を示しているのも興味深い(現代詩手帖1979年11月号) https://t.co/1Vabce7foU"
                                        • スーザン・ソンタグと蓮實重彦の微妙な対話  草森紳一、平岡正明のように没後、その著作が次々に刊行されるのは稀有なことだが、二〇〇四年に亡くなったスーザン・ソンタグものそのひとりといえそうだ。講演・エッセイをまとめた『同じ時のなかで』(NTT出版)が刊行され、その後も、二〇一〇年には、ソンタグの十四歳から三十歳までの日記を息子が編纂した『私は生まれなおしている――日記とノート 1947―1963』(デイヴィッド・リーフ編、河出書房新社)、二〇一二年には、最初に書かれた長篇小説『夢の賜物』(河出書房新社)が出

                                          スーザン・ソンタグと蓮實重彦の微妙な対話 草森紳一、平岡正明のように没後、その著作が次々に刊行されるのは稀有なことだが、二〇〇四年に亡くなったスーザン・ソンタグものそのひとりといえそうだ。講演・エッセイをまとめた『同じ時のなかで』(NTT出版)が刊行され、その後も、二〇一〇年には、ソンタグの十四歳から三十歳までの日記を息子が編纂した『私は生まれなおしている――日記とノート 1947―1963』(デイヴィッド・リーフ編、河出書房新社)、二〇一二年には、最初に書かれた長篇小説『夢の賜物』(河出書房新社)が出ている。翻訳はすべてソンタグと生前から交友関係の深かった木幡和江氏である。 晩年のスーザン・ソンタグは、9.11直後に、ブッシュ政権の対外政策を痛烈に批判して日本でも話題になったことがあるが、やはり、大江健三郎との往復書簡とか、主に政治的なテーマにからめて語られることが多かったような気がする

                                          • 蓮實重彦・青山真治・阿部和重「映画三狂人、アメリカ映画を大いに語る」 (文學界2015年5月号掲載)|文學界

                                            映画監督・小説家の青山真治さんが3月21日、逝去されました。文學界にたびたび登場していただき、会うたびにともに楽しい時間を過ごした青山さんがいなくなってしまった淋しさは、はかりしれません。 哀悼の意をこめて、2015年の映画特集号の鼎談を、ご遺族、蓮實さん、阿部さんのご了承をいただいてここに全文掲載します。 (写真・山元茂樹) 米軍の英雄を描く反動的な映画か、PTSDを扱う反戦映画か? クリント・イーストウッド監督の問題作「アメリカン・スナイパー」の「とらえどころのなさ」から映画が今日直面する困難をあぶり出し、アメリカ映画最新作を縦横に語り合う充実の百五十分。 ■「幽霊」の撮った映画 青山 この三人で集まるのは、クリント・イーストウッド監督が自ら主演した最後の作品「グラン・トリノ」(二〇〇八)についての座談会(文學界二〇〇九年五月号)以来、六年ぶりですね。そのイーストウッドの最新作「アメリ

                                              蓮實重彦・青山真治・阿部和重「映画三狂人、アメリカ映画を大いに語る」 (文學界2015年5月号掲載)|文學界
                                            • 「頑張ろう」などと口にするのはそろそろ止めにすべきではなかろうか|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま

                                              蓮實重彥さんの短期集中連載時評「些事にこだわり」第3回を「ちくま」9月号より転載します。この夏は一生ぶんくらいの「頑張ろう」「頑張った」というフレーズを聞いた気がします。しかしそもそも「頑張る」という日本語はなんなのか。結果の是非を視野から遠ざけ、主体を一様に無化する紋切型のおそろしさとは。 さる原稿の執筆にやや行きづまったので、パソコンの置かれた仕事机を離れ、サロンのソファに深々と身をうずめ、正式には禁煙したことになっているのに何のためらいもなく煙草に火をつけ、見るともなしにテレビをつけてしまう。すると、画面には、めっきりと髪の白さがきわだつピーター・フォークが、例のよれよれのベージュのコートをまとって慇懃無礼な質問を若い男に向けて呟いているので、ああ、『刑事コロンボ』の一挿話の再放映だなとすぐさま合点がゆく。見るからに怪しげなその若い男は、自分で設計したクラブのオープニングが迫っている

                                                「頑張ろう」などと口にするのはそろそろ止めにすべきではなかろうか|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま
                                              • 蓮實重彦が大江健三郎について書いた文章を読んでふざけんじゃねぇと思ったので、蓮實の原罪を断罪することにした

                                                東京創元社に対する告発文の更新が滞っていますが、純粋に私自身が忙しかったというだけのことであって、それ以外の理由はありません。全体として長篇小説に相当する程度の分量にはなるため、引き続き少しずつ更新を続けていきます。 ただ、今回は、どうしてもこれだけは書いておかなければならないということがあったため、そちらの方を優先してアップします。……とはいえ、大きい文脈の中では、日本の出版業界・文芸業界の腐敗という点で関連してくることでもあります。 少し前のことだが、蓮實重彦が大江健三郎について書いた文章を読み、そのあまりにも大江に対して不当である悪辣な仕打ちについて、心の底から憤激するということがあった。 一応断っておくと、問題の文章は、大江が亡くなる以前に執筆され、公表されたものだ。ただし、大江が亡くなった後に公表された蓮實による追悼文を一読しても同じ論旨があったため、「蓮實重彦による大江健三郎に

                                                  蓮實重彦が大江健三郎について書いた文章を読んでふざけんじゃねぇと思ったので、蓮實の原罪を断罪することにした
                                                • この世には、どうやら珈琲にたっぷりと砂糖を入れねば気のすまぬ世代というものが存在しているようだ|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま

                                                  蓮實重彥さんの連載時評「些事にこだわり」第10回を「ちくま」11月号より転載します。長い年月を経て、同世代の日本を代表する大作家との思いがけぬ類似点に気がついたことについて。 「昨夜は」と書き始めはしたものの時刻としてはすでに「一昨日」となり始めており、書き終える頃には「数日前」ということになっていようが、さる九月二十七日に渋谷の上質な映画館で、ジョン・フォード監督の『周遊する蒸気船』(一九三五)について、その上映前に二十分ほどお話をする機会に恵まれた。それが終わってから、その小屋の優雅な女性支配人さまからご褒美に頂戴した芳醇な薫りの珈琲をいまたっぷりとメイカーに入れたところだ。深夜であるにもかかわらず、あるいはそれが習慣化しているのだから深夜であるが故に、できあがった琥珀色の液体にスプーンにたっぷり二杯分の砂糖を入れて時間をかけて賞味し、この文章の構想を改めて思案するつもりでいる。 と、

                                                    この世には、どうやら珈琲にたっぷりと砂糖を入れねば気のすまぬ世代というものが存在しているようだ|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま
                                                  • 「映画とは画面に映っているものがすべて」 蓮實重彦門下の監督たちが活躍する‟コワい理由” | 文春オンライン

                                                    今年のヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞を受賞した黒沢清監督の『スパイの妻』が10月16日に劇場公開された。続けて23日には青山真治監督の『空に住む』が封切られ、いずれも現在、公開中である。両監督は立教大学の先輩・後輩にあたり、在学時期こそ違うものの、一般教養の授業で蓮實重彦(現・東京大学名誉教授)による「映画表現論」を受講したという共通点がある。 蓮實が映画監督たちに与えた響力の大きさ 蓮實は母校の東京大学(文学部仏文学科卒)で教員を務めながら、立教大学でも1968年から10年以上にわたって講師として教壇に立った。同大学で彼に学んだ学生のなかからは、黒沢と青山のほかにも周防正行、万田邦敏、塩田明彦などの映画監督が輩出されている。東大の「映画論」ゼミの教え子からも中田秀夫や豊島圭介といった映画監督が出ており、蓮實の影響力の大きさがうかがえよう。 先にあげたうち、黒沢清は1975年、万田邦敏は翌

                                                      「映画とは画面に映っているものがすべて」 蓮實重彦門下の監督たちが活躍する‟コワい理由” | 文春オンライン
                                                    • 蓮實重彦、『ジョン・フォード論』を語る【後編】──“この本は、青山真治へのラヴレターのようなものでもあります”

                                                      蓮實重彦、『ジョン・フォード論』を語る【後編】──“この本は、青山真治へのラヴレターのようなものでもあります” 7月21日、蓮實重彦さんがライフワークのひとつとして取り組んできた『ジョン・フォード論』が1冊の書籍となって刊行された。これを機会に、アメリカ思想史を専門にし、映画批評も手がける入江哲朗がロングインタビューを敢行。その後編をお届けする。 批評家の蓮實重彥さんは、いままでにいくつも偉業を成し遂げてきた。『映画の神話学』(1979)や『監督 小津安二郎』(1983)によって日本の映画批評に革新をもたらし、『夏目漱石論』(1978)や『表層批評宣言』(1979)によって文芸批評界に波瀾を起こし、『「ボヴァリー夫人」論』(2014)というフランス文学研究の記念碑的著作を上梓したかと思いきや小説『伯爵夫人』(2016)の三島由紀夫賞受賞によって時の人となる──そんな蓮實さんが、この7月に新

                                                        蓮實重彦、『ジョン・フォード論』を語る【後編】──“この本は、青山真治へのラヴレターのようなものでもあります”
                                                      • またぞろ大江健三郎の「にがい、、、コオフィ」を論じることになるが、間違っても二番煎とはならぬので安心されたい|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま

                                                        蓮實重彥さんの連載時評「些事にこだわり」第12回を「ちくま」3月号より転載します。同世代の大作家との意外な類似点をあげて、反響の大きかった第10回の余波について。 何しろこれは隔月連載なので、前々回といってもすでに数ヶ月前のことになってしまうが、珈琲とそれに加えるべき砂糖の量の過多をめぐるこの老齢者の記述があちらこちらで話題になり、いささか恥ずかしい思いを抱かされた。『この世には、どうやら珈琲にたっぷりと砂糖を入れねば気のすまぬ世代というものが存在しているようだ』というのがその文章の題名だったが、「存在している」ではなく「ようだ」と断言を避けているところが味噌といえば味噌だといえる。 とはいえ、お他人さま一般というものには信頼などおいていない人間なので、それが現実の事態として機能しているとは到底思いかねるあの「承認欲求」とやらが充たされたというわけでは勿論なく、世の中には暇なお方が不特定多

                                                          またぞろ大江健三郎の「にがい、、、コオフィ」を論じることになるが、間違っても二番煎とはならぬので安心されたい|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま
                                                        • 第5回 蓮實重彦の批評は難解なのか――『FILO』誌編集部による後記 | 映画の「現在」という名の最先端 ――蓮實重彦ロングインタビュー | 蓮實重彦 | 対談・インタビュー | 考える人 | 新潮社

                                                          韓国のインディペンデント映画誌「FILO」。世界各国のシネフィル(映画通)に直接原稿を依頼するという意欲的な編集方針で知られる同誌には、過去に日本を代表する映画監督である黒沢清氏・諏訪敦彦氏、俳優の加瀬亮氏らも寄稿しています。そして、最新の第13号には、長年国内外の映画批評をリードし続けてきた蓮實重彦氏のメールインタビューが掲載。今回、蓮實氏と「FILO」編集部のご厚意により、「考える人」で特別にその日本語版を公開することになりました。 今年84歳を迎えた「映画狂人」は、自らが体験した映画史、さらに最前線を見据えて何を語るのか? 映画時評から離れて久しい蓮實氏が現代の映画監督についても率直な評価を明かしたこのロングインタビュー、聞き手を務めたホ・ムニョン氏による充実した後記とあわせて、ぜひお楽しみください。 (第4回はこちら) およそ、生真面目な悲劇性ほど<知>にふさわしからぬものもまたと

                                                            第5回 蓮實重彦の批評は難解なのか――『FILO』誌編集部による後記 | 映画の「現在」という名の最先端 ――蓮實重彦ロングインタビュー | 蓮實重彦 | 対談・インタビュー | 考える人 | 新潮社
                                                          • 第4回 ショットが撮れる、要注目の監督 | 映画の「現在」という名の最先端 ――蓮實重彦ロングインタビュー | 蓮實重彦 | 対談・インタビュー | 考える人 | 新潮社

                                                            韓国のインディペンデント映画誌「FILO」。世界各国のシネフィル(映画通)に直接原稿を依頼するという意欲的な編集方針で知られる同誌には、過去に日本を代表する映画監督である黒沢清氏・諏訪敦彦氏、俳優の加瀬亮氏らも寄稿しています。そして、最新の第13号には、長年国内外の映画批評をリードし続けてきた蓮實重彦氏のメールインタビューが掲載。今回、蓮實氏と「FILO」編集部のご厚意により、「考える人」で特別にその日本語版を公開することになりました。 今年84歳を迎えた「映画狂人」は、自らが体験した映画史、さらに最前線を見据えて何を語るのか? 映画時評から離れて久しい蓮實氏が現代の映画監督についても率直な評価を明かしたこのロングインタビュー、聞き手を務めたホ・ムニョン氏による充実した後記とあわせて、ぜひお楽しみください。 (第3回はこちら) ――先生は、巨匠らのほかにも同時代のアメリカ監督たちにも特別な

                                                              第4回 ショットが撮れる、要注目の監督 | 映画の「現在」という名の最先端 ――蓮實重彦ロングインタビュー | 蓮實重彦 | 対談・インタビュー | 考える人 | 新潮社
                                                            • 「科学技術」という言葉を耳にしたら、およそいい加減な話だと確信して、黙って聞き流せばよい|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま

                                                              蓮實重彥さんの連載時評「些事にこだわり」第13回を「ちくま」5月号より転載します。なぜH3ロケットの打ち上げは失敗したのか。明治期以来の日本特有の事情としてある「技術(=工学)」と「見切り発車」について。 ことさら誇らしげに語るべき話題でもなかろうとは思うが、さる三月七日に予定されていた宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工とが共同開発した新ロケット「H3」の打ち上げは、絶対に成功しまいと確信していた。遅れに遅れていた発射がいまさらうまく行くはずもなかろうと、素人目にも思えたからである。もっとも、ロケット「H3」がまったく飛ばなかったわけではない。いったん空中に飛び立ちはしたものの第二段エンジンに着火せず、打ち上げから数分後――より正確には835秒後といわれている――に指令破壊信号が発せられてフィリピン沖の海上に落下し、藻屑と化したという。それが深海の生態系にしかるべき影響を及ぼさぬは

                                                                「科学技術」という言葉を耳にしたら、およそいい加減な話だと確信して、黙って聞き流せばよい|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま
                                                              • 蓮實重彦のジョン・フォード論「豊かな画面を見つめよ」 - 日本経済新聞

                                                                『ジョン・フォード論』(文芸春秋)を著した映画批評家の蓮實重彦さん。フォードはよく知られた巨匠だが「あまりにも知られていない」と説く。先入観を排し、画面の豊かさを見よと。「敵討ちなんですよ。フォードがバカにされていた時期を知っているから」人種差別、軍国主義、家父長制、愛国主義、感傷主義……。1975年のニューヨークにはそんな理由で「フォードを憎悪する道徳的な義務感」があったという。蓮實さんは

                                                                  蓮實重彦のジョン・フォード論「豊かな画面を見つめよ」 - 日本経済新聞
                                                                • 第2回 『市民ケーン』は真に偉大な作品か? | 映画の「現在」という名の最先端 ――蓮實重彦ロングインタビュー | 蓮實重彦 | 対談・インタビュー | 考える人 | 新潮社

                                                                  韓国のインディペンデント映画誌「FILO」。世界各国のシネフィル(映画通)に直接原稿を依頼するという意欲的な編集方針で知られる同誌には、過去に日本を代表する映画監督である黒沢清氏・諏訪敦彦氏、俳優の加瀬亮氏らも寄稿しています。そして、最新の第13号には、長年国内外の映画批評をリードし続けてきた蓮實重彦氏のメールインタビューが掲載。今回、蓮實氏と「FILO」編集部のご厚意により、「考える人」で特別にその日本語版を公開することになりました。 今年84歳を迎えた「映画狂人」は、自らが体験した映画史、さらに最前線を見据えて何を語るのか? 映画時評から離れて久しい蓮實氏が現代の映画監督についても率直な評価を明かしたこのロングインタビュー、聞き手を務めたホ・ムニョン氏による充実した後記とあわせて、ぜひお楽しみください。 (第1回はこちら) ――実現に至るかはともかく、本の題材として書きたいと考えている

                                                                    第2回 『市民ケーン』は真に偉大な作品か? | 映画の「現在」という名の最先端 ――蓮實重彦ロングインタビュー | 蓮實重彦 | 対談・インタビュー | 考える人 | 新潮社
                                                                  • 第3回 映画には適切な長さがある | 映画の「現在」という名の最先端 ――蓮實重彦ロングインタビュー | 蓮實重彦 | 対談・インタビュー | 考える人 | 新潮社

                                                                    韓国のインディペンデント映画誌「FILO」。世界各国のシネフィル(映画通)に直接原稿を依頼するという意欲的な編集方針で知られる同誌には、過去に日本を代表する映画監督である黒沢清氏・諏訪敦彦氏、俳優の加瀬亮氏らも寄稿しています。そして、最新の第13号には、長年国内外の映画批評をリードし続けてきた蓮實重彦氏のメールインタビューが掲載。今回、蓮實氏と「FILO」編集部のご厚意により、「考える人」で特別にその日本語版を公開することになりました。 今年84歳を迎えた「映画狂人」は、自らが体験した映画史、さらに最前線を見据えて何を語るのか? 映画時評から離れて久しい蓮實氏が現代の映画監督についても率直な評価を明かしたこのロングインタビュー、聞き手を務めたホ・ムニョン氏による充実した後記とあわせて、ぜひお楽しみください。 (第2回はこちら) ――先生はマーティン・スコセッシよりスティーブン・スピルバーグ

                                                                      第3回 映画には適切な長さがある | 映画の「現在」という名の最先端 ――蓮實重彦ロングインタビュー | 蓮實重彦 | 対談・インタビュー | 考える人 | 新潮社
                                                                    • 理由もなく孤児だと思ってしまった、ごく鄭重な少年との出会いに導かれて|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま

                                                                      蓮實重彥さんの短期集中連載時評「些事にこだわり」第8回を「ちくま」7月号より転載します。夕暮れ時、筆者の前に不意にあらわれたこざっぱりとした身なりで鄭重な応接をする少年。彼の正体に思いを馳せて戦中の記憶がよみがえる――。 年の頃は七、八歳だろうか、やや小柄でこざっぱりとした身なりの少年が、目の前を足早に、たった一人ですたすたと歩いている。こちらは駅前の商店街での買い物をすませ、決して軽くはない品々の入ったバッグを肩にかけ、いくぶん疲れ気味に家路をたどっていた夕暮れ時のことである。すると、少年はいきなり立ち止まり、あたりに目を走らせ、こちらの存在に気づいたのかいきなり近寄ってきて、すこぶる慇懃無礼な態度で、少々お訊ねしますがと口にする。このまま進めば羽根木公園にたどりつけますでしょうか。 ああ、それは反対です。この道をとって返し、井の頭線の踏切を渡ってまっすぐに進み、そのつきあたりを右に曲が

                                                                        理由もなく孤児だと思ってしまった、ごく鄭重な少年との出会いに導かれて|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま
                                                                      • 『去年マリエンバートで』4K版に蓮實重彦、菊地成孔、平野啓一郎らが賛辞 | CINRA

                                                                        映画『去年マリエンバートで 4Kデジタル・リマスター版』に寄せられた著名人のコメントが発表された。 1961年に『ヴェネチア国際映画祭』金獅子賞を受賞したアラン・レネ監督、アラン・ロブ=グリエ脚本による『去年マリエンバートで』は、時代も国籍も不明なバロック風の宮殿のようなホテルを舞台に、女A、男X、男Mの3人の人間模様を描いた作品。ヒロインを演じたデルフィーヌ・セイリグが劇中で着た数着のドレスは、晩年のココ・シャネル自らがデザインした。今回上映されるのは、劇中でオリジナルデザインの衣装を提供したシャネルのサポートによって完全修復が施されもの。公開日は10月25日。 コメントを寄せたのは、蓮實重彦、金井美恵子、中原昌也、菊地成孔、千葉雅也、平野啓一郎、町山広美、山崎まどか、五所純子、滝本誠、中条省平。 蓮實重彦は「これは、どこでもない時代のどこでもない場所で演じられる、意味を欠いた必死の演技

                                                                          『去年マリエンバートで』4K版に蓮實重彦、菊地成孔、平野啓一郎らが賛辞 | CINRA
                                                                        • 「知恵の輪熊」の可愛らしさは誰にもわかるまい|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま

                                                                          蓮實重彥さんの短期集中連載時評「些事にこだわり」第4回を「ちくま」11月号より転載します。東京または全国各地で、ハクビシンや猿、猪や熊などさまざまに出没する野生動物たち。しかしいかなる動物にもまして魅惑的なのは、幼児のおぼえちがいから生まれた「知恵の輪熊」なのでした――。 いまからかなり前の二十世紀の終わり頃だったと思うのだが、妻と二人で遅い夕食のテーブルを囲んでいると、ふと何やら気配を察して思わず瞳をあげ、隣家をへだてるコンクリートの壁が見える小さな窓に視線を送る。すると、何やら大型の――明らかに猫ではない――動物がこちらをじっと窺っているではないか。その不気味に輝く瞳と目があうと、相手は動こうともせずにじっとこちらを見すえている。このあたりにはあまり目にしたこともないのに、あれは間違いなく狸か狢だと確信し、妻に目を向けてみよとうながすと、あっと口にするなり、フォークを持つ手をとめてしま

                                                                            「知恵の輪熊」の可愛らしさは誰にもわかるまい|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま
                                                                          • ノーベル賞が「些事」へと堕してしまう悲惨さについて|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま

                                                                            蓮實重彥さんの短期集中連載時評「些事にこだわり」第5回を「ちくま」1月号より転載します。昨年の真鍋淑郎氏のノーベル物理学賞受賞に際し、例のごとく繰り返された「「日本人」が受賞!」の大騒ぎ。そこで覆い隠されるもろもろについてこだわります。 ノーベル賞というものが「些事」に類することがらかどうか、それはもとより確かなことではない。ところがいったんそれが報道されたとなると、日本では、その過程で、一挙にまぎれもない「些事」の域に転落してしまう場合がほとんどである。 例えば、二〇二一年度のノーベル物理学賞は、Mr. Syukuro Manabeというアメリカ国籍の研究者に、ドイツとイタリアの研究者と同時に授与された。ところが、その事実を伝える日本のマスメディアの報道は、あたかも日本国籍の研究者がたったひとりでそれを受賞したかのように興奮しきっている。これは、醜いというより悲惨な事態だというべきである

                                                                              ノーベル賞が「些事」へと堕してしまう悲惨さについて|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま
                                                                            • 北村匡平|新刊『椎名林檎論──乱調の音楽』10月11日発売 on Twitter: "蓮實重彦のパターナリズムは強烈で、この映画を観ていない者が映画批評家など目指してはならないという作品にフェリーニの『8 1/2』がありますが…とかどこかの本でしれっと言う。無論すぐに観たが、ある時、いや蓮實先生も観ていない時期があ… https://t.co/YKCcxruWb9"

                                                                              蓮實重彦のパターナリズムは強烈で、この映画を観ていない者が映画批評家など目指してはならないという作品にフェリーニの『8 1/2』がありますが…とかどこかの本でしれっと言う。無論すぐに観たが、ある時、いや蓮實先生も観ていない時期があ… https://t.co/YKCcxruWb9

                                                                                北村匡平|新刊『椎名林檎論──乱調の音楽』10月11日発売 on Twitter: "蓮實重彦のパターナリズムは強烈で、この映画を観ていない者が映画批評家など目指してはならないという作品にフェリーニの『8 1/2』がありますが…とかどこかの本でしれっと言う。無論すぐに観たが、ある時、いや蓮實先生も観ていない時期があ… https://t.co/YKCcxruWb9"
                                                                              • 第3回 辻とは何か | 古井由吉×蓮實重彦「終わらない世界へ」 | 古井由吉 , 蓮實重彦 | 対談・インタビュー | 考える人 | 新潮社

                                                                                著者: 古井由吉 , 蓮實重彦 先日亡くなった古井由吉さんは、『辻』単行本刊行時に、蓮實重彦さんと「新潮」2006年3月号にて対談をしました。時代をリードしてきた同い年の小説家と批評家でありながら、お二人の対談はこの一度きりです。古井さんの追悼特集を組んだ「新潮」2020年5月号の蓮實重彦さんの追悼文にも、この対談の話が出てきます。対談を構成したのは私なのですが、緊張感と文学的高揚感のあふれるお二人の対話の場に立ち会えた記憶は、一生消えそうにありません。今回、古井さんご遺族と蓮實重彦さんのご厚意により、「新潮」掲載版の対談を復刻掲載いたします。(編集長 松村正樹) (前回の記事へ) 蓮實 たとえば、「草原」の中で安居という男が智恵という女に、松山という知人を「あなたが殺したのではないの」と言われますね。殺めたのか殺めてないのか、その問いは「割符」などにも出てきて、『辻』のいろいろなところに

                                                                                  第3回 辻とは何か | 古井由吉×蓮實重彦「終わらない世界へ」 | 古井由吉 , 蓮實重彦 | 対談・インタビュー | 考える人 | 新潮社
                                                                                • 「本は売らないとたまるね」という中村光夫の名言、もしくは迷言の真実味について、実地に確かめてみるとどうなるか|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま

                                                                                  「本は売らないとたまるね」という中村光夫の名言、もしくは迷言の真実味について、実地に確かめてみるとどうなるか 蓮實重彥さんの連載時評「些事にこだわり」第19回を「ちくま」5月号より転載します。たしかに家にあるはずの本が見当たらない! というのは読書人あるあるだと想いますが、蓮實さんでもそうなのかと思うと安心、というか人間の整理能力や認知能力には限界があるのだなと素直に受け止められます。ご覧下さい。 いつのことだったか定かな記憶はないが、昭和と呼ばれた一時期の戦中および戦後にかけて文芸批評の重鎮だった中村光夫の「名言」もしくは「迷言」として、「本は売らないとたまるね」というものがあったと思う。ことによると「たまるね」ではなく「増えるね」だったかもしれぬが、実際、書物というものは、とりわけこの文章をいま書き綴りつつある者のように映画や文学の批評にかかわる年輩者のもとに、しばしば著者自身から、あ

                                                                                    「本は売らないとたまるね」という中村光夫の名言、もしくは迷言の真実味について、実地に確かめてみるとどうなるか|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま

                                                                                  新着記事