出版状況クロニクル56(2012年12月1日〜12月31日) 2012年の本クロニクルを通じて、出版業界にとって正念場の年ではないかと記してきた。 それと連動するように、出版物売上高は落ちこむ一方で、これまでよりもさらに深刻な危機的状況へと追いやられている。そのことによって、ただでさえタイトであった、出版社、取次、書店のキャッシュフローが枯渇し始めている。12月の出来事にもそれがあからさまに表われ、13年は広範に及んでいくことが予想される。 それゆえに12年で止めるつもりでいた本クロニクルも、続けざるをえないことになってしまった。このような最悪の状況下にあっても、危機の実態を不断に告げるのは、依然として本クロニクル以外にないからだ。 これはすでに制度疲労を伴った再販委託制下においてなされた、1980年代以後の書店のバブル出店と大型化、出版社のバブル新刊発行、それらとパラレルに出現した複合書