第3回:「電力会社の送配電網を利用しやすく」 従来は電力会社が発電した電力を中心に、電力会社みずからが需要家に販売してきた。2000年から始まった小売の一部自由化によって、電力会社でなくても企業向けに販売ができるようになったものの、小売事業者には売るための電力を十分に確保できない構造的な問題が残っている。 結局のところ、小売に参入した新電力の販売量は全体の2%程度に過ぎない状況だ。一般の企業が自家発電した電力を含めて、大半は電力会社を相手にした中長期の契約で固定化している(図1)。新電力にとっては必要な時に必要な量を調達できる取引所の存在は大きな意味がある。 国内には電力を取引できる場が1カ所だけある。10年前の2003年に創設された「日本卸電力取引所(略称JEPX)」だ。9つの電力会社と大手の発電事業者が共同で設立した取引所で、「先渡市場」と「スポット市場」の2種類を運営している。201