小学生のときに「TWICE」の虜になった ステージの中央に進み出ると、正面を見据えた。まだ幼さの残る顔に、不安とおびえの色が浮かんでいる。ふう、とまずは深呼吸。 目の前に並んで座っているのは、韓国芸能事務所のスカウトたちだ。緊張するのも無理はない。生まれて初めて、オーディションの舞台に立ったのだ。 「アンニョンハセヨ」(こんにちは) 震えるような声だった、覚えたての韓国語であいさつしたのは、ここで成功したいという彼女の覚悟でもあった。 ユウキさん(仮名、12歳)。東京都内に住む中学1年生だ。 夏休みを利用して韓国を訪ねたのは、ソウルで開かれたK-POPオーディションに参加するためだった。 2年前、小学生だったときにテレビで韓国のアイドルグループ・TWICEを"発見"した。以来、K-POPの虜(とりこ)になった。 「かっこいいなあと思いました。日本のアイドルグループとはまるで違って見えました