一年を通して温度が安定している「地中熱」を節電に利用する技術が注目を集めている。夏は冷たく、冬は温かいその特性を生かし、室温を快適に保つことができる。兵庫県内の建築会社にも問い合わせが増えるなど、「身近なエネルギー」として導入する動きが広がっている。(足立 聡) 尼崎市西昆陽2の山本工務店。通風口からひんやりとした空気が吹き出し、戸外は34度なのに1階会議室は27度に保たれている。だが「エアコンは使っていませんよ」と山本益也社長(54)。 垂直に埋めた長さ5メートルのパイプ2本に外気を通し、14~18度に安定している地中の温度と同じにして循環させると、冷暖房に頼らず快適な室温を保てるという。 同社の調べでは、光熱費を2~3割節約できるが、初期投資に約250万円かかるのがネックだった。しかし山本社長は「東日本大震災後、意識が変わってきた」と言う。子育て世帯が見学に訪れるようになり、企業からの