国内でのデング熱への感染がさらに拡大している。当初、感染エリアは東京の代々木公園に限られていたが、その後都内の各地に広がり、さらに西日本でも初めて感染が確認された。これまで「海外の感染症」と思われていたデング熱が、なぜ突如として日本を襲ったのか。住友化学のベクターコントロール(蚊帳)事業の責任者を経て、NPO法人マラリア・ノーモア・ジャパンの専務理事に就いた水野達男さんに聞いた。 日本国内でデング熱に感染するということは、以前では考えられないことでした。 水野:改めて認識しなくてはならないのは、蚊は現代の人類にとって大きな脅威であるという事実です。蚊が原因で年間72万5000人もの命が失われているというデータがあります。これは生物の中でも最も多く、一般に恐れられているヘビやワニ、サメによる被害と比べても、ケタ違いに多い数字です。一番小さく、強力な凶器。それが蚊です。 デング熱が日本に上陸し