先日、ぼくは日本にいた。 出張と休暇を兼ねて一ヶ月ほど滞在したのだけど、せっかくの一年ぶりの日本にもかかわらず、積極的に人と会おうという気分にはまるでなれなかった。 今だから言えるけど、とにかく毎日が苦しくて、ふさぎ込んでいて、情けなくて、そんな自分に焦りをおぼえてしまい、そしてさらに苦しくなるという悪循環にはまり込んでいた。何をやろうにも手がつかない、自信喪失のダメ人間になっていた。 ストレスは万病のもとだけど、ぼくの場合は肌に出やすいらしく、手足や首に湿疹が出る。ときどき、胸が締め付けられるような鈍い痛みとともに、心臓がドック、ドックと脈打つのが感じられたりもする。 いつも、こうなる原因は、だいたい自分でわかっている。 人間の悩みというものは、多かれ少なかれ、すべて自意識から生じている。 つまり、「周囲の人間から自分がどう見られているか」ということに対して感じる不安が「悩み」の正体だ。