東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から7年が経過したが、福島県の現状を巡る風評や偏見は根強く残っている。その大きな原因は放射線に関する知識の不足である。正確な情報を繰り返し丁寧に発信していくことが必要だ。 身近に接する福島県産食品への不安はなかなか消えない。
原発事故さえなければ思いも離れることはなかった――。東京電力福島第一原発の事故による避難生活は、大切な家族の関係に暗い影を落とすこともある。離れている距離や時間に加え、放射能を巡る価値観の違いなどが「溝」を広げ、離婚に至る夫婦もいる。 夫はとどまった 子ども3人と大阪府に避難した女性(41)は、福島市の自宅に残った夫と2015年に別れた。 福島市は福島第一原発から約60キロ。放射能の影響を恐れ、事故翌年の12年、身寄りも土地勘もない大阪へ移った。できるだけ東日本から離れつつも、福島とは陸続きの本州、といった条件から選んだ。 環境の変化を嫌ってとどまった夫は、互いに行き来して会うたびに「戻ってこないの」と聞いてきた。女性は「いつか戻れるのでは」と期待もしたが、避難が長引く中、子どもたちの生活は大阪で落ち着いてきていた。自身も福島の復興は願いつつ、「事故現場の収束のメドはたっておらず、まだ安心
東日本大震災被災直後、仙台から幼い子どもとともに宮崎に移り住んだ大口玲子という歌人がいる。微量といえども、東京電力福島第1原発事故による放射能漏れの幼児への影響を恐れたからだ。自主避難である。昨年刊行された大口著「神のパズル」によると、被災直後、西に向かう東海道新幹線は大口と同じ理由で西に向かう母子連れにあふれ、保育園のようだったという。ボランティア団体が宮崎に福島の母子を招待した際、大口はこんな歌を詠んでいる。 <福島より来たりて宮崎の土を指し「これさはってもいいの」と訊(き)けり>
【福島原発被害東京訴訟】2回目の原告本人尋問。子どもを守りたいと避難した原告。「線量低いのになぜ戻らない?」と迫る被告。繰り返される稚拙な反対尋問。 2017/01/12 08:13 原発事故により都内への避難を強いられた人々が、事故の過失責任を認め損害賠償をするよう国と東電を相手取って起こした「福島原発被害東京訴訟」の第21回口頭弁論が11日、東京地裁103号法廷(水野有子裁判長)で開かれ、福島県いわき市から都内に〝自主避難〟している夫婦、母親、父親の計6人の原告に対する本人尋問が行われた。同訴訟での原告本人尋問は、2016年11月に続いて2回目。前回同様、被曝リスクを避けるために都内に逃げた原告たちに、被告代理人弁護士は稚拙で正確さを欠く反対尋問を繰り返した。次回期日は3月1日午前10時。 【「どうせ白血病で死ぬんだろ」】 「目に見えない被曝リスク」から少しでも遠ざかりたかった原告。「
はじめまして。福島県在住の林智裕と申します。 東日本大震災および東京電力福島第一原子力発電所の事故から4年半以上の年月。本当にさまざまなことがありました。これからそのことについて、特に今回は震災後に流れたデマがどのように現地を苦しめてきたのかを、少しお話をさせていただこうと思います。 ひとつ最初におことわりしなければなりません。 今回の内容に限らず私が震災について、福島について書く内容は確かに福島の声のひとつではあるものの、決してそれだけが福島を代表するものではないということです。敢えて断定での書き方が多くなりますが、これから書く内容は、福島の全てではありません。 それは発言に自信が無いからではありませんが、私よりも語るにより相応しい当事者がいるからか?と問われれば実は答えに困ります。 その理由として原発事故はその性質上極めて社会問題と深く関わり政治的な要素を含むために、通常の災害ではあま
人気番組「ザ!鉄腕!DASH!!」のなかで、TOKIOが福島県産小麦を使ったラーメンを披露したところ、Twitterにこんなツイートが投稿された。「TOKIO。究極のラーメンて、福島の小麦から作った麺なのかよ。人殺し。」「未だに『食べて応援』している馬鹿がいて頭が痛くなる」。 元になったツイートは削除されているが、このツイートに対して「根拠を示してほしい」「風評被害を拡大するな」と批判が殺到した。福島産の食材が紹介されるたびに起きる、既視感のある話題だ。なぜ、問題は繰り返されるのか。 2012年以降、小麦は基準値以下福島県水田畑作課の松浦幹一郎さんは淡々とした口調で語る。 「放射性物質の検査結果はウェブ上で公開しています。ここで、小麦の数値をみると、2012年以降で基準値超えはありません。2011年7月に広野町で収穫されたものが1件基準値を超えていますが、それ以外はない。これが事実です。福
今月8日、福島県立福島高校3年の小野寺悠(はるか)さんと東京大理学部の早野龍五教授が日本外国特派員協会で記者会見した。テーマは個人線量計「D−シャトル」を使ったプロジェクトの成果。英専門誌「放射線防護」に掲載された論文には高校生を中心に共著者233人が名を連ねる。 「他の地域と比べて被ばく線量が高いのかを知りたい」。小野寺さんら福島高校の生徒が考えたことをきっかけに、県内外の12高校131人、フランス、ベラルーシ、ポーランドから85人の計216人が2014年の2週間、D−シャトルを身につけて生活した。 ここからわかったのは、線量の中央値やばらつき方はほとんど変わらないということだ。放射性セシウムによる土壌汚染はあるのになぜかといえば自然放射能が低いため。「客観的な事実に基づいてリスクを評価する重要性がわかった」。英語でしっかり受け答えする小野寺さんの言葉に福島市民としての思いを感じる。 こ
11月下旬の英国のテレビ番組「BBC WORLD」で福島県の子どもたちの内部被ばくを測定できるホールボディー(全身)カウンター「ベビースキャン」の測定結果が紹介された。3台が福島の病院に設置され、約2700人の小児、乳幼児を測定した結果、全員から放射性セシウムが検出されなかったという。 この装置は東京大学大学院の早野龍五教授(原子物理学)が中心となって、海外製のホールボディーカウンターを改造したもの。うつぶせ姿勢で、不安をあたえずに4分間測定できる。 これにより大人用より5倍以上の感度で測定できるようにした。子どもは体が小さく、また放射性セシウムの自然排出が大人に比べ著しく早いため、精度を上げないと意味のあるデータがとれなかったからだ。 この記事は有料記事です。 残り836文字(全文1159文字)
安西洋之(あんざい・ひろゆき) ビジネスプランナー。 ミラノと東京を拠点に日欧のインターフェイスとして 活動してきた経験に基づき、 ローカリゼーションマップという活動をしている。 異なる文化圏でビジネスする場合の 「ものの見方」について執筆や講演。 食安全のカンフェランス企画に携わったのは、 東北食材を欧州市場に紹介するプロジェクトに関与するなかで、 イタリアの人たちの福島の食品に対する「本音」を知ったため。 Twitter ブログ「さまざまなデザイン」 書籍 世界の伸びている中小・ベンチャー企業は何を考えているのか? ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く 『マルちゃん』はなぜメキシコの国民食になったのか? (中林鉄太郎さんとの共著) 連載 サンケイビズのコラム 「安西洋之のローカリゼーションマップ」 原発アレルギーのある国、イタリアで福島の食を語る これから短期連載で 「
「福島では日本全国と較べて、高いところで約50倍の甲状腺がんの多発が起こっていることが推定された。低いところでも20倍」 2011年3月に起きた東京電力福島第一原発事故のあと、福島に多発している小児甲状腺がんは、そのかなりが「被曝」によるもの、と示唆する学術論文が発表された。 論文は岡山大学の津田敏秀教授(環境疫学)らの研究チームがまとめたもので、2015年10月7日に、国際環境疫学会が発行する医学雑誌『Epidemiology』のオンライン版に掲載された。18歳以下の県民約37万人を対象に、2011年から2014年末まで行われた、福島県による甲状腺の超音波検査の結果を分析しており、中通りと呼ばれる県内の中部地域(二本松市、本宮市、三春町、大玉村)では、甲状腺がんの年間発症率が日本の平均比で約50倍!と、もっとも高く現れたことや、県内の他の場所でも、発症未検出の一部地域を除けば、同20~4
県立福島高校(福島市)の女子生徒2人が、万博が開催されているイタリア・ミラノ市内で日本時間の22日深夜から始まるシンポジウムで、福島と国内外の高校生らの被曝(ひばく)量を比較した研究成果を発表する。同校の生徒らが昨年実施した調査では、東京電力福島第一原発事故があった福島と他の地域の被曝量に大きな差はないことがわかった。女子生徒たちは「福島の正しい姿を海外に伝えたい」としている。 発表するのは、3年生の小野寺悠さん(17)と小川葵さん(18)。海外の多くの人たちが「福島には人が住めない」と誤解しているのを知ったことが、調査を始めたきっかけだった。 小野寺さんは原発事故後、オーストリアに短期留学したが、「『彼女は福島から来ました』と紹介された時、深刻な顔で(キリスト教の祈りのしぐさである)十字を切られた」と振り返る。普通の生活を送っていることを説明してもなかなか理解されなかったという。 部活動
福島で生活する人から学びたい 絵本作家、松本春野さん(31)の新作絵本「ふくしまからきた子 そつぎょう」(父の松本猛さんとの共著、岩崎書店)が話題を呼んでいる。東京電力福島第1原発事故後、福島から広島に母と避難することを選んだ主人公の少女「まや」が、自分が通っていた福島の小学校の卒業式に戻ってくるという物語だ。反原発運動に参加する松本さんは、福島での取材を通じて「(反原発運動は)もっと福島で生活を送る人の声から学ぶべきだ」と感じたという。絵本作家、いわさきちひろの孫として注目された松本さんが福島での取材で何を感じ、どう考えが変化したのか。思考の軌跡をロングインタビューでお届けする。【聞き手・石戸諭/デジタル報道センター】
3日午前11時45分ごろ、福島大の男子学生から「男に胸ぐらをつかまれた」と110番通報があった。福島署員が同大構内で反原発のビラを配っていた住所、職業、氏名いずれも不詳の30歳くらいの男を暴行の疑いで現行犯逮捕した。公安関係者によると、中核派系全学連関係者とみられる。逮捕容疑は、同大構内で男子学生の胸ぐらをつかむなどした疑い。 同署によると、男は反原発を訴え、複数人でビラ配りをしていた。男子学生が受け取りを拒否したところ、胸ぐらをつかんできたという。男は学生や大学職員ではないとみられるが、黙秘しているという。
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