突然の出来事 長享3(1489)年、室町幕府第9代将軍・義尚(よしひさ)は、弱冠25歳の身でありながら、近江の陣中で戦死しました。 この予期せぬ事態により、足利将軍の座が空白になったので、隠居の身でありながらも大殿の立場にあった義尚の父・義政は、急遽、美濃国にいた弟の義視(よしみ)を京に呼び戻します。 応仁の乱で西軍の大将格だった義視は、敗戦の責任を取らされ追いつめられて、美濃の斯波氏に保護される形で亡命していたんですね。 負け組となってしまった彼は、もう京の町に戻れることはないだろうと覚悟していたのですが、義尚の突然の死という事態に奇跡的な復活を遂げることになるのです。 ただ復活といっても、義視自身が将軍になれるわけではありませんでした。 義視にとって戦死した義尚は甥にあたるので、甥の後継ぎとして叔父が将軍になることになり、それを受け入れることを幕府は出来なかったからです。 こういった前