東電の福島第1原発の事故では、発生当初から当事者の東電はもちろんであるが、政府側は首相官邸と経産省原子力安全・保安院が記者会見をしてきた。多くの人は原子力安全・保安院をよく知らなかっただろう。 保安院の法令上の位置付けは、経産省資源エネルギー庁の特別の機関とされ、その仕事は原子力に関する規制と安全確保である。職員数は600人程度。ところが、保安院の実態は経産省の植民地だ。 今の寺坂信昭院長は、前職は商務流通審議官であり、三越や伊勢丹といった百貨店担当だった。松永和夫経産省事務次官も、次長(2002年7月〜04年6月)、院長(04年6月〜05年9月)と保安院にいた。これらの人事をみてわかるように、保安院のトップは事務系官僚であり、原子力で専門でない素人だ。 経産省にも技術系官僚はいる。今回の事故では、当初記者会見していた中村幸一郎氏は比較的専門知識のある技術系官僚のようで、「炉心溶融の