人間文化には、根源の時代から、儀式があり、祭りがあった。そこには歌もあれば踊りもある。食事も、性の営みも、労働も、戦争も、その他もろもろの行為があった。そのどれが重く、どれが軽いとはいえない。全体がからみあって生活のシスティム、1つの有機体となっている。物として残されたもの、色とか形は、その生きた全体の一部であったのだ。 熱く純粋に、人間の生命とともにふきあがった叫び、歌、踊りは、瞬間に消え去ってしまう。ものも滅びる。だが消えなかったのは、たまたま石で作られた道具、造形だった。考古学はそれらを体系づけ、この極めて古い文化を「石器時代」と名づけた。 だがそれは、いわば骨だ。それよりもそれを覆う肉体の方の神秘を、なんと呼んだらいいのか。……私か抵抗したくなるのは、この固い冷たい石、生活のごく一部だけを拠りどころにして、形骸をずらっと並べたて── まさに博物館の陳列棚の味気なさだ。── それで人