ブロッキング、ネット検閲、傍受という文脈で真っ先に思い浮かべるのは中国の金盾でしょうが、最近のインターネットでは、中国以外でもそれらが徐々に増加しています。日本も例外ではなく、来年4月から児童ポルノを対象としてISPによるブロッキングが行われる予定であると思われます。来年から開始すると言われているブロッキングですが、「ISPによる自主的な取り組み」というのが大きなポイントの一つです。 児童ポルノを取り締まるということそのものは正しいだと思いますし、通信の秘密とブロッキングに関して今まで非常に時間をかけて検討がなされてきたこともわかります。しかし、技術的な視点で言えば、今まで存在していなかったブロッキングの仕組みがISPに入ることになり、日本のインターネットに大きな変化が発生すると言えます。 フィルタリングとブロッキングの違い この話題では、まず最初にフィルタリングとブロッキングの違いを理解
全国の生協がインターネット上に開設しているホームページ(HP)など生協関連のウェブサイトが、パソコンのセキュリティーソフトで有害サイトとしてアクセスが規制され、閲覧できない状態が続いていることが9日、分かった。 ソフトは生協関連サイトを有害サイトの分類のうち「活動家グループ/反体制的団体」に位置付けており、生協関係者は「全く理解に苦しむ」と困惑している。 ソフトは、ウイルス対策ソフト大手「トレンドマイクロ」(東京)が昨年秋に販売を開始した最新版の総合セキュリティーソフト「ウイルスバスター2009」。 ソフトの有害サイト規制機能を「有効」に設定し、生協関連のウェブサイトにアクセスしようとすると多くのサイトがブロックされ、「このページにアクセスすることはできません」と表示される状態になっている。 宮城県の生協関係者から相談を受けた仙台市の弁護士によると、組合員から3月上旬以降、「生協の
青少年をネットの有害情報から守ることを目的とした、いわゆる「青少年ネット規制法」(青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律)が、6月11日午前の参院本会議で、賛成多数で可決・成立した(「青少年ネット規制法」衆院通過 実効性に疑問、厳格化懸念も)。 法律では、有害情報として「犯罪や自殺を誘引する情報」「著しく性欲を興奮させる情報」「著しく残虐な内容の情報」などと例示。青少年が有害情報を閲覧する機会をできるだけ少なくすることを目的とし、フィルタリングソフト・サービスの普及などを促している。 携帯電話会社に対しては、保護者が不要と申し出ない限り、未成年が利用する端末へのフィルタリングサービス提供を義務付けた。ISPには顧客の求めに応じてフィルタリングソフトやサービスを提供する義務を、PCメーカーには、フィルタリングソフト・サービスの利用を容易にする措置を講じた上で
昨日の朝、突然メールをいただいて本日午後の参議院内閣委員会に参考人招致され、採決、付帯決議まで見届けてまいりました。あー緊張した。明日の本会議で成立の予定。特に野党から最後の最後まで詰めの議論があり、法文の曖昧な点については国会答弁でかなり輪郭がくっきりしたのではないかと。 ITMediaの記事で誤解していたのは、登録フィルタリング推進機関って、研究開発と普及啓発だけで、フィルタリング基準策定はしないんですね。自民党内閣部会案が頭に残っていて、誤解しておりました。後で記事を若干修正しなきゃ。明日から2泊4日で米国出張。これから準備しなきゃ。 追記: さっそく午後の審議の様子が公開されている。id:touhou_huhaiが憂慮している件も野党の先生方が丹念に確認し、いい答弁を引き出しているので確認して欲しい。
「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律案」(青少年ネット規制法)が衆議院青少年特別委員会を通過した。2日の与野党実務者協議を受けて党内調整が始まり、6日午前中に衆議院青少年特別委員会で委員長提案されて了承、午後の本会議を通過した。来週には参議院を通過する公算が大きい。 ネット規制のあり方については、高い社会的関心を呼んだにも関わらず、自民党内各部会案の検討、与野党協議や党内調整など、実質的な議論が密室かつ短期間で行われたことは残念だが、最終的には規制色の薄い内容となり、実効性を期待できる内容が盛り込まれなかった。法案の要点を概説するとともに、今後の論点や、民間自主努力や法改正の方向性について検討する。 有害情報を定義する登録フィルタリング推進機関 法律では有害情報について民主党案と同様に例示に留め、その定義は登録制の民間第三者機関であるフィルタリング推進
気づいたら前エントリで引用した読売の記事は削除されていた。自民党案にみるフィルタリングへの奇妙なコダワリや、第三者機関の政府による審査・登録制について悶々と違和感を感じていたのだが、やっと違和感の理由が判った。結局のところこのスキームは、政府による検閲を形式上は民民規制にしているだけで、発想の出発点から間違えている。 本来フィルタリングは様々な児童保護手段がある中で、保護者による児童監督のための補助ツールであって、決して国家による検閲の補助ツールではない。従ってフィルタリングの在り方に対して政府が口出しする場合、そのツールの有用性を保護者が適切に判断できるだけの情報が提供されているか監視する消費者行政の枠組みで検討すべきであって、具体的には情報の非対称性を解消するために何らかの品質表示義務を課し、評価指標の確立に対して予算措置を講ずるといった行政手法が取られるべきであろう。 数ある児童保護
ウェブサイトの健全性を評価、認定する機関「インターネット・コンテンツ審査監視機構(I-ROI)」の設立が4月25日、発表された。9月をめどに、サイトの認定を開始する。 学識経験者と有識者が集まってレーティング基準を策定し、それに基づいて健全性を審査する。PCサイトとモバイルサイトの両方を対象とし、年齢や利用シーンによってレーティングにいくつかの段階を設ける考えだ。 この問題に関しては、総務省のコンテンツ安心マーク(仮称)調査研究会が、2004年度に安心してインターネットを利用できる環境を作るための調査研究をし、2005年度から2008年度にかけては社団法人デジタルメディア協会が、コンテンツアドバイスマーク(仮称)推進協議会という名称で、制度と運用方法について検討してきた。これらの結果をもとに、サイトの認定をするのがインターネット・コンテンツ審査監視機構ということになる。 審査にあたっては、
高市法案は実質的に死んだとはいえ、有害情報の法的定義は残る可能性がある。またホットラインセンターに警察官が出向していることなどからも、警察の関与は残る。本当に「民間の第三者機関」になるのかどうか、監視する必要があろう。 他方、小倉秀夫さんの懸念のように、民間ベースで公正な運用が行なわれるのか、という問題が出てくる。これは経済学でも古い問題で、初等的な教科書では「市場の失敗」があるときは政府がやるべきだということになっているが、実際はそれほど単純ではない。 公的な目的を達成しようとするプリンシパル(国民)とそれを受託するエージェント(民間業者)が完全な契約を結ぶことができれば問題はtrivialで、国営化の必要はなくエージェントを規制すればよい。しかし完全な契約を結ぶことはできないので、どういう場合に民営化が望ましいのかという問題については多くの研究がある。たとえばアメリカで民営化されて
きのうの記事でも少しふれたが、小倉秀夫氏も批判しているように、この声明には事実認識や法律論の点で問題がある。 まず基本的な問題点は、この声明が「青少年の健全な育成のためのインターネットの利用による青少年有害情報の閲覧の防止等に関する法律案」つまり高市法案を想定していることだ。しかし昨日も書いたように、現在の国会情勢で高市法案が成立する可能性はゼロに近い。 百歩ゆずって、高市法案が成立する可能性があるとしても、そこに「ウェブサイト管理者に対する有害情報の削除義務」が規定されているというのは(見ているバージョンが同じだとすれば)大屋雄裕氏がすでに今月上旬に指摘したように、事実誤認である。サイト管理者に有害情報の削除を義務づける規定はない。 「有害な情報に行政命令権を持つことは、先進各国には類例がない」というのも誤りである。小倉氏も指摘するとおり、未成年に限ればドイツや北欧に前例があり、先
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18歳未満の未成年者を保護する目的で広範なインターネット規制を行う法案が、現在自民党と民主党の内部で審議されている。未成年にとって“有害”なサイトをフィルタリング対象にし、未成年者が見られないようにしよう――という法案だ。 今年に入って、青少年保護目的でインターネット規制を最初に打ち出したのは民主党の「違法・有害サイト対策プロジェクトチーム」(PT)だ。同PTは今年1月30日から4月1日まで12回の会合を行い、警察庁、総務省、フィルタリングソフト事業者、キャリア、ISP、携帯コンテンツプロバイダーなどを招いてヒアリングを行っている。 議論の中、同PT事務局長の高井美穂衆議院議員が2月にたたき台となる私案を発表(参考:2月5日のマイコミジャーナルの記事、3月21日のNIKKEI NETの記事)。その後中間報告として法律案がまとめられ、具体的な「有害情報」の定義を行い、ISPに対する有害情報の
というわけでいずこからか法案が送られてきたので検討してみたよ(挨拶)。この忙しいのに何でこんなことに orz と思わなくもないが、まあ心配している人多そうなので。とりあえずみんなが不安に思いそうなところは検討できたかと思うけど、必要があればこのエントリに加筆していきます。ので、特定時点での私の見解を確定させたい人はお手数ですが魚拓でも取ってください。削除の必要があれば見え消しでやります。 以下まず注意点。 私がもらった法案が本物かどうか、私は知りません(偽物だという証拠もないが)。よそでやはり検討を加えている人と同じものを見ているのかどうかも、私にはわかりません。法案を見て気になっている人は、私が検討対象にしているものが自分の見ているものと同じかどうか確認しながら読むことを勧めます。 主として法技術上の論点に絞って検討します。また以下自民党案(とされているもの、以下略)を中心的に検討し、民
朝日新聞によれば、自民党の青少年特別委員会は、インターネットの有害情報から子どもを守るため、18歳未満の青少年が有害情報を見られないようにする対策を講じるよう、インターネットの接続業者に義務づけることなどを盛り込んだ法案の原案をまとめたそうだ。 これに対して総務部会が反対しており、結論はまだ出ていないが、21世紀になってこんな法案が出てくること自体が驚きだ。原案によれば「著しく残虐性を助長する情報」「著しく犯罪、自殺及び売春を誘発する情報」について携帯各社やネットカフェ業者などにフィルタリングを義務づけるという。また、サイト管理者やプロバイダーに対して、有害サイトの閲覧を18歳以上の会員に限ったり有害情報を削除したりすることを義務づける。違反した場合、罰金や懲役も設ける。 インターネットの歴史を知っている人ならすぐ気づくと思うが、これは1996年にアメリカで成立した通信品位法(CDA)
実はPCでのフィルタリングの課題のひとつに、多くのユーザーが家庭内のPCでログイン管理していないという問題がある。例えばWindows Vistaの「保護者による制限」では、親子で別のアカウントを設定し、親が子のアカウントに対して「保護者による制限」を設定する必要があるが、多くの個人ユーザーはアカウントという概念を理解しておらず、管理者権限の自動ログインで共有しているのが一般的ではないか。 ソニーのデジタルカメラ「サイバーショット」の新作「DSC-T300」は、なんと大人と子供を顔で自動判別する新「スマイルシャッター」を搭載。子供と大人、どっちの笑顔を優先して撮影するか設定できるようになりました。 いまどきのPCならWebcamがついているのが一般的で、Webcamから使用者が大人か子供か判別できれば、子供が使っている場合だけフィルタリングを有効にするとか、そういう使い方ができるかも知れな
民主党はこのほど、今国会へ提出を予定している違法・有害情報の規制法案のたたき台となる案をまとめた。同党の「違法・有害サイト対策プロジェクトチーム(PT)」事務局長の高井美穂衆議院議員が私案としてまとめたもので、有害情報の定義を明確化して規制のための法的根拠を示したほか、プロバイダーに対して閲覧防止措置を義務付けており、違反した事業者に行政指導を行う根拠となりうる内容となっている。 民主党「違法・有害サイト対策プロジェクトチーム(PT)」事務局長の高井美穂衆議院議員 高井議員は、違法・有害情報の青少年に与える影響が大きくクローズアップされ始めた2006年、「出会い系サイトにアクセスして青少年が被害に遭う場合は圧倒的に携帯経由が多い」との認識から、未成年が契約者の場合にフィルタリングサービスを受けるか否かを携帯事業者が保護者と未成年に意思確認をすることを義務付ける「電気通信事業法の一部を改正す
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