奈良県葛城市が国定公園内で建設を予定しているごみ焼却施設を巡り、県に建設許可の差し止めを求めた訴訟の判決で、大阪高裁(水上敏裁判長)が「良好な景観を日常的に享受している住民の景観利益は法律上保護に値する」として、住民に訴訟を起こす資格(原告適格)があると判断したことが分かった。差し止め請求自体は棄却した。自然公園法を根拠として、景観利益を理由に原告適格を認めたのは初めてとみられる。 判決は4月25日付。葛城市は2004年、「金剛生駒紀泉国定公園」内にあったごみ焼却施設「当麻(たいま)クリーンセンター」(同市当麻、11年9月に稼働停止)の跡地に、「葛城クリーンセンター」の建設を計画。これに対し、跡地から約0.5〜1キロ圏内の住民9人が、建設で良好な景観が奪われるなどとして13年1月、国定公園での建設許可権限を持つ奈良県を相手取り、奈良地裁に提訴。同地裁は8月、県への許可申請がされていないこ