東京・半蔵門の国立劇場=写真=が、建て替えのため昨年閉場して今月で1年。伝統芸能の上演や普及、後進の育成の「聖地」だが、建て替え計画の見通しが甘く、再開場のめどは立たない。芸能の実演家たちが憂慮する「ナショナルシアターの空白」は、この国の文化史に残る失態だ。 国立劇場は、文化庁所管の独立行政法人「日本芸術文化振興会」が運営している。歌舞伎や日本舞踊、演劇などの公演を行う大劇場と、文楽や邦楽などの公演を行う小劇場などからなる。 開館は1966(昭和41)年。半世紀後の2016年には、老朽化が進んだとして、大規模改修の基本計画が策定されたものの、当初の開場予定だった20年になって民間資金活用による社会資本整備(PFI)の手法による建て替えへと、方針が転換された。