「電子技術は進歩したが,新しい楽器を生み出す力は弱くなってしまったのではないだろうか」。こう問題提起したのは,新コンセプトの楽器「TENORI-ON」をヤマハと共同開発した,メディア・アーティストの岩井俊雄氏(写真1)。2008年4月25日のTENORI-ON発表会(関連記事)において,TENORI-ONが生まれるまでの岩井氏の創造過程を明らかにした。 TENORI-ONを生み出した最大のモチベーションは,楽譜を読めなくても音楽を作りたいという点だ。そこから,時間軸×音程をマトリックスにしたユーザ・インタフェースが生まれた。その原点となる手回し式オルゴールを岩井氏はプレゼンで披露した(写真2)。ハンドルを回すと,紙の帯を読み込み,穴のあいたところで音が鳴る(ビデオ参照)。この譜面に時間軸×音程というTENORI-ONの原点を見ることができる。 時間軸×音程を岩井氏なりに最初の作品にしたもの